ニュースのことば 11月まとめ

20160915_04

日ソ共同宣言
第2次世界大戦に負けた日本と、ソビエト連邦(主に今のロシア)の戦争状態を終わらせ、外交関係を回復させた宣言。1956年に調印されました。45年にソ連に占領された北方四島については、平和条約を結んだ後、歯舞群島、色丹島の2島を日本に引きわたすとしています。
日本政府はこれまで国後、択捉の2島もふくめた4島の一括返還を求めていました。
APEC
「アジア太平洋経済協力会議」の略称。太平洋を囲むアジア、オセアニア、南北アメリカなどの21の国と地域が参加する経済協力の枠組みで、1989年に日本をふくむ12か国で始まりました。
APECの首脳会議が17、18日、太平洋の島国パプアニューギニアで開かれました。
カネミ油症
汚染された食用油による大規模な食中毒事件。カネミ倉庫(福岡県北九州市)がつくった油に有害物質が入り、食べた人たちから皮膚症状や内臓の病気などのうったえが相次ぎました。1968年10月に被害がわかり、翌年7月までに西日本一帯で約1万4千人が被害を届け出ましたが、これまでに認められたのは福岡県や長崎県を中心に約2300人です。
発生から50年をむかえ、亡くなった被害者を追悼し、教訓を語りつぐ集いが17日、長崎県五島市で開かれました。
サリドマイド
睡眠薬の一種。1950年代から60年代に、飲んだ妊婦の子に重い障がいを引き起こす薬害を起こしました。国内では1千人が被害を受けたとみられます。62年に販売中止になりましたが、2008年に血液がんの一種の治療薬として再承認されました。妊婦の服用は禁じられています。
サリドマイドの副作用を防ぐしくみを、名古屋工業大学の教授らの研究グループが明らかにしました。より安全な薬の開発に役立つと期待されます。
立体商標
商品などの立体的な形の特徴を、ほかのものと区別するため商標として認める権利。1996年の商標法改正で認められ、これまでコカ・コーラのびんなど2千件以上が登録されています。
ソフトバンクグループの子会社が手がけるヒト型ロボット「ペッパー」=写真=の形が立体商標に登録されました。胸につけたタブレット、丸みを帯びた下半身の形などが特徴です。
日米地位協定
日米安全保障条約に基づいて、在日アメリカ(米)軍に施設や用地を提供する方法や、日本国内での米軍人の権利などについて定めた決まり。
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)など米軍基地周辺の河川や浄水場など計15地点で、発がん性が疑われている有機フッ素化合物が高濃度で検出されました。県は基地内に汚染源があるとみて立ち入り調査を求めていますが、米軍は応じず、原因は不明のままです。基地の管理権は米側にあると定めた日米地位協定が壁になっています。
憲法審査会
日本国憲法や関連する法律について調査し、憲法の改正原案などを審査する国会の機関です。憲法改正の手続きを定めた国民投票法が2007年に成立したことを受け、設置されました。衆議院と参議院の各議席数に応じて、各党に委員が配分されます。
今国会初の憲法審査会が11月29日、開かれました。野党が出入国管理法改正案をめぐる対立などを理由に開催に応じてこなかったことから、衆院憲法審査会の会長(自民党)が、会長としての権限で開催を決定しました。野党は反発し、欠席しました。
大嘗祭
新たに即位した天皇が1代に1度限り行う重要な儀式。稲作農業を中心とした古代社会の収穫儀礼に根ざしたものです。中心的な「大嘗宮の儀」では、新しい天皇がその年に収穫された米などを神々に供え、自身も食べて、穀物が豊かに実り、国家が安定することをいのります。
秋篠宮さまが11月30日の53歳の誕生日を前に会見し、「大嘗祭」について「宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか」と述べられ、政府が公費を支出するべきではないとの考えを示しました。

 

北方領土、2島の返還を優先へ

北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)をめぐる問題について、安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と話し合い、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約の交渉を加速させることでまとまりました。この宣言では平和条約を結んだあとに色丹島、歯舞群島を引き渡すとされています。日本政府は4島を一括して返還するように求めていましたが、2島を先行して返還することを軸にする考えに切りかえたかたちです。

北方領土は入試でよく出ます。2018年度は大阪・清風中が地図を示し、あてはまる島の名前を問いました。
ロシアとの北方領土問題は19世紀までさかのぼります。1855年に結ばれた日露和親条約では、千島列島のうち択捉島以南を日本領、樺太(サハリン)は境界を定めないことにしました。1875年の樺太・千島交換条約で、樺太全島がロシア領、千島列島が日本領に。日露戦争後のポーツマス条約では、北緯50度以南の樺太などが日本領になりました。第2次世界大戦(太平洋戦争)末期の1945年、日本がポツダム宣言の受け入れを承知したあと、ソ連(いまのロシアなど)は北方領土を占領。日ソ共同宣言で国交は回復したものの、北方領土問題があるため、日本とロシアのあいだで平和条約は結ばれてきませんでした。
北方領土がある北海道の「あらまし」もおさえます。面積は約8万3400平方キロメートル。都道府県別にみると日本で一番広く、日本全体(約38万平方キロメートル)の20%以上を占めます。
重要なのがアイヌ民族。古くから狩猟や漁で生活していた先住民族です。明治政府は1869年、開拓使という役所を置き、「蝦夷地」を「北海道」と改めて西洋の技術を取り入れた開拓事業に乗り出しました。開拓が進むなかでアイヌの言葉を使うことやサケ漁などを禁じ、日本人への「同化」政策も進められました。1997年にアイヌ文化と伝統の振興、普及をはかる「アイヌ文化振興法」が制定。2008年にはアイヌの人々を先住民族とすることを求める決議が国会で採択されました。

【朝日小学生新聞2018年11月19日~2018年12月3日掲載】