ニュースのことば 11月まとめ

20160915_04

ヘイトスピーチ
特定の人種や民族、宗教などの少数者に対して、暴力や差別をあおったり、おとしめたりする表現のこと。国内では、在日韓国・朝鮮人に向けて「出て行け」などと、街中でくり返しうったえる活動が何度もあり問題となっています。
2013年以降、少なくとも12回のヘイトスピーチがあった神奈川県川崎市は9日、ヘイトスピーチのために使うおそれがあれば、公園など公的な施設の利用を拒否できるガイドライン(指針)を公表しました。事前に規制する指針は全国初といいます。
チバニアン(千葉時代)
千葉県市原市の「千葉セクション」と呼ばれる地層が、地質年代の変わり目を代表する「国際標準模式地」の候補に残りました。そこで分けられる約77万~12万6千年前の地質年代が「チバニアン(千葉時代)」と呼ばれる可能性が出てきました。
地質学では、岩石ができた年代などに応じて、地球の歴史を115の時代に分けています。時代区分の変わり目を標準化(統一)するため、国際地質科学連合は世界で1か所の地層を模式地と認めてきましたが、これまで国内にはありませんでした。最終的な結果が出るのは来年以降になる見こみといいます。
ISO規格
自動車などあらゆる製品の品質管理のしくみがきちんとしていることを示す国際基準。世界中で同じ品質の製品をつくれるよう、スイスに本部を置く国際標準化機構(ISO)が定めます。製品を対象にする規格のほか、組織の品質管理のしくみに対する規格もあり、認証機関が審査します。
日産自動車が資格を持っていない人に新車を検査させていた問題で、ISO規格の認証機関が、日産の国内全6工場の国内向けの生産に関する認証を取り消しました。
所信表明演説
首相が国の政治の方針をうったえる演説。新しく首相が選出されたり、臨時国会や特別国会が召集されたりしたときに行います。
安倍晋三首相は17日、衆議院と参議院で所信表明演説を行いました。幼児教育を基本的に無料にするなどの少子化対策と、核兵器の開発で問題になっている北朝鮮対応などを強調しました。内容は10月の衆議院議員選挙でうったえたポイントにしぼり、文字数は約3500字と、この30年で2番目に少ない演説になりました。恒例となっている、偉人の名言などのエピソードも紹介しませんでした。
量子コンピューター
圧倒的な性能をもつことが期待されている次世代コンピューターです。極小の物質の世界の現象を応用することで、計算の効率を高める仕組みです。理論上は1千年かかる計算も一瞬ですむとされています。人工知能や新しい薬の開発などに役立つことが期待され、研究はアメリカが先行しています。
国立情報学研究所などは、量子コンピューターの試作機を27日から研究機関などが無償で利用できるサービスを始めます。2019年度末までに国産での実用化をめざします。
光害
過剰な光が健康や生態系に悪い影響を与えること。安眠や星空観測、ウミガメの産卵など生物活動をさまたげ、農作物の成長をおくらせます。
夜間に人工的に照らされた地域が、世界で年に2%ずつ増えていることが、宇宙からの観測データでわかりました。国際研究チームがアメリカの科学誌に22日付で発表しました。今回の研究ではスマートフォンなどから出る「ブルーライト」の波長はふくめていないため、実際には光害がさらに大きい可能性もあるといいます。
ゲリラ豪雨
激しい雨が突然、せまい範囲で短時間に降ること。ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲は発生し雨を降らせ消えるまでが、30分から1時間と短いという特徴があります。マスコミが作った用語とされ、正式な気象用語ではありません。
2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックに向け、ここ数年増えているゲリラ豪雨対策に、新型レーダーを使う計画が進んでいます。ゲリラ豪雨が予測された場合に競技時間を変更したり、観客の避難誘導に役立てたりする予定です。
アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)
2002~03年シーズンから始まったアジアのサッカークラブ王者を決める大会。優勝すると、サッカークラブ世界一を決める「クラブワールドカップ」に出場できます。
ACL決勝の第2戦が11月25日、埼玉スタジアムであり、浦和レッズが1―0でアルヒラル(サウジアラビア)を破り、10年ぶり2度目の優勝を果たしました=写真。
ワシントン条約
絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を規制するため、1973年にアメリカのワシントンで採択された条約。
ワシントン条約の常設委員会は11月27日、日本の調査捕鯨をチェックする調査団を送ることを決めました。日本政府は受け入れる見通しです。
日本がクジラのデータを集めるためとして行っている調査捕鯨には、国際社会から「商業目的であり条約違反」などと批判が続いており、ワシントン条約の議題に今回初めて取り上げられました。
憲法審査会
日本国憲法や関連する法律について調査し、憲法の改正原案などを審査する国会の機関。2007年の国民投票法の成立を受けて設置されました。衆参両議院の議席数に応じ各党に委員が配分されます。
衆議院憲法審査会は11月30日、約半年ぶりに再開しました。7月にヨーロッパを視察した委員が、イタリアで「その時々の政治の多数派だけにたよって憲法改正をすることは極めて危険」と指摘されたことなどを紹介。これらをふまえて国民投票のあり方を中心に話し合いました。

 

アメリカ(米国)のトランプ大統領が初めて来日。核・ミサイル開発をつづける北朝鮮への対応や日米2国間の通商問題など、安倍晋三首相と話し合いました。トランプ大統領は北朝鮮による拉致被害者家族らとも面会。解決に向けた協力を約束しました。

ことし1月に第45代大統領に就任後、トランプ大統領は地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱を表明するなど、自国の利益を最優先に考える姿勢をみせています。「米国第一主義」を象徴するような動きが「環太平洋経済連携協定(TPP)」からの離脱宣言といえそうです。
いまの国際社会では、2国間や多国間で経済的な連携を実現しようとする動きがめだちます。貿易をするときの税金である関税を低くしたり、なくしたりすることを定めるFTA(自由貿易協定)や、関税だけでなく知的財産権の保護や投資ルールの整備などもふくめたEPA(経済連携協定)などがあります。日本は2002年、シンガポールとの間に初めてのEPAを結びました。
TPPもEPAの一つ。太平洋を取り囲む国々が経済での協力を深めて貿易をさかんにしようとするものです。交渉は2010年から始まり、日本は13年の夏から加わりました。日本のほかに米国やチリなどの南北アメリカ、ベトナムなどの東南アジア、オーストラリアなどのオセアニアの12か国が話し合いをつづけ、15年の秋には大筋合意にたっしました。
TPPに参加することによって、日本では自動車産業など国際的な競争力のある分野で輸出が活発になると見こまれる半面、関税が下がったりなくなったりすることで農業などの競争力が弱い分野は打撃を受ける心配があるとされていました。現在、米国をのぞく11か国で協定の早期発効をめざしています。

◆記事の日付は現地時間です

【朝日小学生新聞2017年11月20日~2017年12月4日掲載】