ニュースのことば8月まとめ

20160915_04

オスプレイ
アメリカ(米)軍の輸送機です=写真。垂直に離着陸でき、高速で飛べる特徴があります。沖縄を拠点とする米海兵隊のMV22オスプレイが5日、オーストラリアで墜落する事故がありました。小野寺五典防衛大臣は6日、国内におけるオスプレイの飛行の自粛を米側に申し入れました。米側は「申し出を受け止める」と回答したといいます。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)で7日午前、米軍がオスプレイ1機を飛行させました。防衛省は11日、事故後の米軍の対応に理解を示し、オスプレイの飛行再開を容認すると発表しました。
食料自給率
国内で消費される食料が、どれくらい国産でまかなえているかを示す指標。農林水産省は9日、2016年度の食料自給率(カロリーで計算したもの)が38%だったと発表しました。前年度まで6年連続で39%でしたが、北海道の台風被害で小麦の生産が減ったことなどが響きました。政府は25年度までに45%に高める目標をかかげていますが、達成はきびしそうです。自給率が高いコメの消費は減る一方、輸入が多い肉の消費量は増えています。
白人至上主義
白人が一番であるとし他の人種を差別する考えのこと。アメリカ(米)の主な団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」は、1861~65年の南北戦争後、南部地方で黒人をしりぞける目的で結成されました。米東部バージニア州で12日、集会を開いた白人至上主義グループに対抗して反対派が集まっていたところに車がつっこみ、1人が死亡、19人がけがをしました。トランプ大統領がかかげる米国第一主義のもと、白人至上主義者の行動が勢いづいています。
GDP(国内総生産)
国内で、一定の期間内に生産されたモノやサービスの価値の合計額。国内の経済規模や成長を示す指標になります。英語の「Gross Domestic Product」の略。過去と比べた変化の割合を「経済成長率」といいます。内閣府が14日に発表した2017年4~6月期のGDPの1次速報では、前の3か月と比べて、1年間を単位として計算した実質成長率が4.0%増えました。15年1~3月期以来の高い成長率です。国内の個人消費や設備投資など輸出にたよらない分野がのびました。
水俣条約
公害病の水俣病の原因になった「水銀」による環境汚染や健康被害を防ぐため、採掘や輸出入などを規制する国際ルール。2013年に日本で開かれた国連の会議で採択され、条件の「50以上の国で締結」を満たして16日に発効しました。水銀は、人の体に入ると深刻な神経障がいを引き起こし、赤ちゃんや子どもに特に有害です。開発途上国では今も利用されており、国際的な取り組みが求められていました。
米韓合同軍事演習
アメリカ(米国)と韓国の両軍が合同で、朝鮮半島での有事(戦争などの非常事態)に備えて行う軍事演習のこと。米韓合同軍事演習が21日から31日まで韓国各地で行われています。今回は、コンピューターを使い、有事のシナリオに基づいて戦いに勝つために兵士をどう動かすかなど「戦術」を確認する理論的な訓練が中心です。反発する北朝鮮は26日、東部の江原道から日本海へ短距離ミサイルを3発発射、いずれも失敗したとみられます。
O157
腸管出血性大腸菌の一つ。少しの量でも下痢や発熱などをともなう食中毒を起こす場合があります。幼児や体力が低下している人が中毒になると、腎不全や脳炎などを引き起こし、死亡するケースもあります。埼玉県は21日、熊谷市内のスーパーの総菜店でO157による食中毒が起きたと発表しました。この店が今月7~8日に販売したポテトサラダを食べた4~60歳の男女計8人が下痢や腹痛などをうったえました。このうち、5歳の女の子が腎臓の機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS)で一時、意識不明の重体になりました。
NAFTA
北米自由貿易協定。英語のNorth American Free Trade Agreementの略称。アメリカ、カナダ、メキシコの3か国の間で1994年に発効した協定で、条件を定めて関税をなくすなどの内容です。アメリカのトランプ政権は、より優位に貿易をしたいと見直しを求め、再交渉を進めています。初会合は20日に閉幕しましたが、9月以降も会合を続け、早ければ年内の合意をめざすといいます。内容によっては日本の自動車メーカーにも影響が出そうです。
全国学力調査
文部科学省が小学6年生と中学3年生を対象として年に1度、学力や学習状況を知るために行います。2007年度に始まりました。国語と算数(数学)のほか、生活習慣や学習意欲などをたずねる「質問紙調査」も実施し、学力との関係を分析します。12年度からは、理科も3年に1回行われています。文部科学省は8月28日、全国の小6と中3の計約200万人が受けた2017年度の調査の結果を発表しました。例年と同じく、国語、算数・数学とも、必要な情報を整理して考えをまとめる思考力を問う問題などの平均正答率が低いという結果でした。
Jアラート
全国瞬時警報システムのこと。ミサイル発射や津波、地震などの緊急情報を政府が発すると、人工衛星や地上回線を通じて市町村の防災行政無線を自動的に動かし、屋外スピーカーやメールで住民に知らせます。北朝鮮が8月29日に発射した弾道ミサイルについては、12道県(計617市町村)にJアラートを発信しましたが、機器の不具合などで7道県(計16市町村)でうまく情報が伝わりませんでした。Jアラートの伝達から落下まで10分ほどしかなかったため、対応にとまどう声もあがりました。

 

国際的な水銀規制のルールを定めた「水俣条約」が発効しました。2013年に熊本県で開かれた国際会議で採択されたもので、日本やアメリカ、中国など70をこえる国と地域が締結。水銀による環境汚染や健康被害を防ぐため、採掘や使用にくわえ、輸出入などもふくめた包括的な管理に取り組みます。

水俣病はもちろん、新潟水俣病や四日市ぜんそく、イタイイタイ病については被害が出たおもな地域や原因をおさえておきます。
水俣病は熊本県・鹿児島県の不知火海沿岸、新潟水俣病は新潟県の阿賀野川流域で発生。工場から出た水にふくまれる有機水銀(メチル水銀)が原因で魚や貝などを食べた住民が手足のしびれなどに襲われました。三重県で発生した四日市ぜんそくは工場の排煙にふくまれる硫黄酸化物などによって、大勢の住民が呼吸器の病気に。イタイイタイ病は鉱山からの水にふくまれたカドミウムが富山県の神通川を汚染し、住民は骨がもろくなる病気に苦しみました。

日本の公害問題の原点は、栃木県の足尾銅山鉱毒事件といわれています。明治時代、銅を精錬するときに生じた有毒なガスが木を枯らして洪水を引き起こしたり、銅や亜鉛などをふくむ廃水が渡良瀬川流域の漁業や農業に被害をあたえたりしました。生涯をかけてこの問題の解決に取り組んだのが田中正造。この春の入試では東京・開成中が「渡良瀬川流域の汚染問題を取り上げ、政府を追及した衆議院議員」として、その名前を問いました。

【朝日小学生新聞2017年8月14日~2017年9月4日掲載】