ニュースのことば 1月のまとめ

20160915_04

リコール
車などの生産者が欠陥があった製品を公表し、回収・修理して事故を防ぐ制度。英語で「recall」です。自治体の首長や議員を住民の意思でやめさせる制度などの意味もあります。
車のリコールを知らせるダイレクトメールの1割が、持ち主に届いていないことが国土交通省の調査でわかりました。2015年度は推計約180万台分が届きませんでした。引っ越したときに車検証の住所変更をしない人がいるためです。国土交通省は住所変更の重要性を呼びかける考えです。
白化現象
高い水温などが原因で、サンゴに共生する藻類がぬけ出て、サンゴの色が白っぽくなって弱ること。死ぬこともあります。
環境省は10日、日本最大のサンゴ礁域として知られる沖縄県の石西礁湖を去年11~12月に調べたところ、サンゴの9割に「白化現象」が広がり=写真=、70%が死んだと発表しました。
4K・8K
いまのフルハイビジョンより細かいところまではっきり映し出される放送方式で、4Kは現在の4倍、8Kは16倍細かく描写できます。Kは1千の意味で、画像を表示するための光の粒(画素)がフルハイビジョンでは横方向に約2千並んでいるのに対し、4Kは約4千、8Kは約8千並んでいるためそう呼ばれます。
総務省の審議会は11日、2018年に始まる「4K・8K」のBS放送のチャンネルを割り当てる放送局を決めました。NHKや民放計11チャンネルです。
外交文書の公開
国と国の交渉の記録などを記すのが外交文書です。30年が過ぎた記録は、外務省が定期的に公開しています。
外務省は12日、1980年代前半のアメリカ(米国)や中国との話し合いを記録した外交文書を公開しました=写真。当時の中曽根康弘首相が米国のロナルド・レーガン大統領と初めて首脳会談をしたようすなどがくわしく書かれていました。
カイゼン
トヨタ自動車の経営手法の一つで、経営者から生産現場までそれぞれで悪いところを直していく改善活動のこと。日本の製造業の強さの秘密とされます。
トヨタ自動車は17日、大規模農家らと連携した効率的なコメづくりの実証実験の結果を発表しました。スマートフォンで作業データを共有し、現場での「カイゼン」の取り組みを進めやすくします。田植えのための苗の資材費を約3割減らし、1ヘクタールあたりの作業時間も約2割短くすることができたといいます。
通常国会
毎年1月に開かれる国会。会期は150日間。内閣を代表して首相が国政全般にわたる基本方針を示し、予算案の議論などが始まります。
第193通常国会が20日に召集され、6月18日までにおよぶ国会がスタートしました。一般会計総額が約97兆円で過去最大の2017年度予算案のほか、これまで3回廃案になった「共謀罪」の中身を変えた「テロ等準備罪」法案や天皇陛下の退位に関する法案の審議、憲法改正に向けた動きが焦点になります。時間ではなく成果で給料を決める労働基準法の改正案なども議論になりそうです。
春闘
4月からの新年度を前に、労働者でつくる労働組合が会社の経営者に給料の引き上げや働く環境の改善などを求めて話し合うこと。「春季闘争」の略で、1950年代半ばに始まりました。
日本経済団体連合会(経団連)と日本労働組合総連合会(連合、加盟組合員約686万人)のトップらが春闘に向けた方針を説明する「労使フォーラム」が23、24日にありました。今年の春闘が事実上、スタートしました。給料の引き上げに加え、長時間労働の問題など働き方の改革についてもテーマになりそうです。
アメリカ(米国)の大統領令
米国の大統領が、議会の承認を得たり法律を作ったりせずに直接、連邦政府や軍に出す命令。法律と同じくらいの効力を持ちます。議会は、反対する法律を作ることで対抗できます。
トランプ大統領は、メキシコとの国境に壁を造るなど不法移民対策を強める二つの大統領令に25日、署名しました。テロ対策として、シリアなどイスラム教徒が多い国からの入国を制限する大統領令も27日、出しました
初乗り運賃
米電車、バス、タクシーなど交通機関を利用するときに払う最低額のこと。運賃の制度全体に対して法律で規制がかかっていて、タクシーの場合は国土交通省の認可を受ける必要があります。
東京都心部(23区と武蔵野市、三鷹市)のタクシーの初乗り運賃が1月30日から「約1キロ410円」となりました。「2キロ730円」から大きく変わり、短い距離の利用は値下げ、長い距離は値上げとなります。短い距離でも気軽に乗ってもらい、利用を増やすねらいです。
ハッカー
コンピューターやネットワーク機能についてくわしく、高い技術力をもつ人のことです。しかし一般には、そうした知識を悪用する人のことを指します。善良なハッカーをホワイトハッカーと呼ぶこともあります。
去年12月中旬から今年1月上旬にかけ、少なくとも全国18大学にある研究室などのウェブサイトが、ハッカーに書きかえられる被害にあっていたことが、朝日新聞の調べでわかりました。大学側は重要な情報がもれることはなかったとしています。文部科学省は情報の管理に問題があるとして、すべての大学に注意を呼びかけました。
家計調査
お金の使い道などを知るため、総務省統計局が行う統計調査のこと。調査の対象となる世帯は6か月間(単身世帯は3か月間)、毎日のすべての収入と支出を家計簿に記入します。
1月31日に公表された家計調査の結果、静岡県浜松市が3年連続で年間のギョーザ購入額日本一となりました=写真はお祝いする人たち。1世帯当たり4818円で、2位の栃木県宇都宮市は4651円。
特殊詐欺
知り合いでない人に電話などで連絡してお金をふりこませたり、現金を郵便で送らせたりしてだまし取る詐欺のことです。ここ数年、被害の件数が増えていて、各地の警察が注意を呼びかけています。
警察庁が2日に発表した去年1年間の特殊詐欺の被害額は、前の年より約75億7千万円少ない約406億3千万円でした。2年連続で減りましたが、4年続けて400億円を超えました。確認できた被害の件数は1万4151件(未遂をふくむ)。被害者の8割近くが65歳以上です。

 

 ■トランプ米大統領が就任、TPPから離脱
アメリカ(米国)の第45代大統領にドナルド・トランプさんが就任しました。「米国第一主義」をかかげ、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱する大統領令に署名。日本をふくむ12か国での批准をめざしてきましたが、いまの枠組みでの発効は不可能です。

貿易には、関税を設けて輸入をおさえたり、自国の製品などの輸出を後押ししたりする「保護貿易」と、国が積極的にかかわらず、市場の動きにまかせる「自由貿易」があります。第2次世界大戦(太平洋戦争)後に広がったのは自由貿易。1948年の「関税貿易一般協定(GATT)」がその一例で「自由・無差別・多角」を原則としました。1995年にはGATTを発展させた国際機関として「世界貿易機関(WTO)」が設立。より強い権限をもち、サービスや知的財産権など幅広い分野での経済連携をめざしました。

しかし、各国がそれぞれの利害を主張して交渉は停滞。2000年代になると複数の国の間で経済的な連携を実現しようとする動きがでてきました。関税の撤廃や削減を定めるFTA(自由貿易協定)や、関税だけでなく知的財産の保護や投資ルールの整備などもふくめたEPA(経済連携協定)です。
TPPもEPAの一つで、日本のほかに米国やチリなどの南北アメリカ、ベトナムなどの東南アジア、オーストラリアなどのオセアニアの国々が交渉に参加。2015年の秋に大筋合意にたっしました。
日本の場合、TPPに参加することで自動車産業など競争力がある分野で輸出が活発になると見こまれる半面、関税が下がったりなくなったりすることで農業などの競争力が弱い分野は打撃を受ける心配があるとされていました。

【朝日小学生新聞2017年1月16日~2017年2月6日掲載】