2017年度合格へのこの一問 理科問題編⑥

理科問題編⑥ 条件の異なる実験の結果を考えよう その2

執筆・早稲田進学会(上田竜夫)

今回は、条件の異なる実験の結果を考える問題(その2)です。前回(8月10日付)取り上げた京都府立中の共通問題を解説します。

 問題1 
物質は一般に、「固体→液体→気体」と状態が変化すると体積が大きくなります。逆に、「気体→液体→固体」と状態が変化すると体積が小さくなります。また、固体、液体、気体のそれぞれの状態でも温度が上がると体積が大きくなります。例えば、線路のレールのつなぎ目にすき間があるのは、暑い日にレールが膨張してゆがむのを防ぐためです。また、へこんだゴムのボールやピンポン球をお湯につけておくと、ふくらんで元の形に近い状態に戻ります。これは、ゴムのボールやピンポン球の中の空気が温められて体積が大きくなるからです。そして、固体や液体よりも気体の方が温度の変化による体積の変化が大きくなります。

ただし、水は例外です。水は約4℃のときの体積が最も小さくなり、0℃で氷になると体積が少し増えます。氷が水に浮かぶのは、体積が増えるため密度が水よりも小さくなるからですね。

お茶も空気も温度が上がると体積が大きくなりますが、空気の方が温度の変化による体積の変化が大きいので、お茶のこぼれる量は紙パックの中の空気の体積にともなって変わります。

 問題2 
条件の異なる実験を比べるときは、どの条件が同じで、どの条件がちがっているのか、はっきりさせる必要があります。この問題では、表1の100mL三角フラスコに水100mLを入れた実験の結果を基準としてⅠ~Ⅲの実験の結果の「液面が上がった高さ」を比べます。そこで、基準となる実験の条件を表2に書き加えて、次の表のように整理して考えましょう。

まず、基準となる実験とⅠの実験の条件を比べると、三角フラスコに入れる水の量はどちらも100mL、ガラス管の内側の直径もどちらも5mmと同じ条件になっています。しかし、三角フラスコの大きさは、基準となる実験では100mL三角フラスコを使用していますが、Ⅰの実験では200mL三角フラスコを使用しているので、三角フラスコの大きさの条件はちがっています。そのため、三角フラスコに入れる水の量はどちらも100mLで同じでも、Ⅰの実験の三角フラスコの容量が大きいので、図アのように三角フラスコの中の空気の体積は、基準となる実験よりもⅠの実験の方が大きいことがわかります。そこで、水よりも空気の体積が大きく変化するので、温度が上がると空気の体積が大きいⅠの実験の方がガラス管に流れ込む水の体積も大きく、「液面が上がった高さ」は大きくなると考えられます。

20161014a_03

次に、基準となる実験とⅡの実験の条件を比べると、三角フラスコの大きさはどちらも100mL三角フラスコを使用し、ガラス管の内側の直径もどちらも5mmと同じ条件になっています。しかし、三角フラスコに入れる水の量は、基準となる実験では100mLですが、Ⅱの実験では三角フラスコ内をすべて水で満たす量となっているので、三角フラスコに入れる水の量の条件はちがっています。図イのようにⅡの実験の方は三角フラスコの中に空気が入っていないことになるので、温度が上がっても空気が入っていないⅡの実験の方がガラス管に流れ込む水の体積が小さく、「液面が上がった高さ」も小さくなると考えられます。

最後に、基準となる実験とⅢの実験の条件を比べると、三角フラスコの大きさはどちらも100mL三角フラスコを使用し、三角フラスコに入れる水の量もどちらも100mLと同じ条件になっています。しかし、ガラス管の内側の直径は、基準となる実験では5mmですが、Ⅲの実験では10mmになっているので、ガラス管の内側の直径の条件はちがいます。そのため、三角フラスコの大きさは、どちらも100mL、三角フラスコに入れる水の量もどちらも100mLと同じなので、三角フラスコの中の空気の体積もガラス管の中に流れ込む水の体積も同じですが、図ウのようにガラス管の内側の直径が大きいⅢの実験の方が「液面が上がった高さ」は小さくなると考えられます。

 問題3 
数値の取りちがえ、小数第1位を四捨五入して整数で答えるという指示に注意して計算します。20161014a_06表3の数値は水にとけなかった二酸化炭素の体積なので、20℃の水50mLにとけた二酸化炭素の体積は、

20161014a_07です。つまり、50mLの水に30mLの二酸化炭素がとけることになります。20℃の水にとける二酸化炭素の体積と水の体積は比例することから、とける二酸化炭素の体積が30mLから100mLに

20161014a_08になると、とかす水の体積も  倍になります。100mLの二酸化炭素をすべてとかすのに必要な水の体積は、

20161014a_09より、小数第1位を四捨五入して整数にすると、167mLです。

 問題4 
ここでは、単位と小数第1位を四捨五入して整数で答えるという指示に注意して計算します。科学クラブの水そうの容積は、

 30×60×36=64800(cm3)

です。1cm3=1mLなので、64800(cm3)=64800(mL)となります。20℃の水にとける二酸化炭素の体積と水の体積は比例することから、二酸化炭素をとかす水の体積が50mLから64800mLに

 64800÷50=1296(倍)

になると、とける二酸化炭素の体積も1296倍になります。64800mLの水にとける二酸化炭素の体積は、

 30×1296=38880(mL)

です。1000mL=1Lなので、単位をLになおして、

 38880÷1000=38.88(L)

より、小数第1位を四捨五入して整数にすると、39Lです。

 問題5 
表3より、1℃の水にとけた二酸化炭素の体積は、

 50-8=42(mL)

です。また、40℃の水にとけた二酸化炭素の体積は、

 50-29=21(mL)

です。これより、とける二酸化炭素の体積は40℃の水の方が小さいことがわかります。そのため、二酸化炭素をよくとかした1℃の水を入れた注射器Aを40℃の水につけると、注射器Aの中の水の温度が上がり、1℃の水にはとけていた二酸化炭素の一部がとけきれなくなり、あわとなって出てきたと考えられます。


20160727b_04

 問題1  a 大きく  b 空気

 問題2  Ⅰ イ  Ⅱ ウ  Ⅲ ウ

 問題3  167mL

 問題4  39L

 問題5  a 40℃  b とけていた

【朝日小学生新聞2016年8月17日(水)掲載】