2017年度合格へのこの一問 理科問題編⑤

理科問題編⑤ 条件の異なる実験の結果を考えよう その1

執筆・早稲田進学会(上田竜夫)

今回は、条件の異なる実験の結果を考える問題(その1)です

科学クラブに所属する一郎さんと京子さんは、気体の性質について調べるためにそれぞれ次のような実験をしました。その実験について、 問題1  問題5 に答えなさい。

【一郎さんの実験】
20161006b_03一郎さんは、よく晴れた夏の暑い日に家族と車で出かけ、右の図1の飲みかけの紙パックのお茶を車内に置いておきました。しばらくして車にもどると、紙パックがたおれていないのに中のお茶がストローからこぼれていました。このことを不思議に思った一郎さんは、科学クラブの先生から次のような実験があることを教えてもらい、その実験を行うことにしました。なお、実験中の気温は20℃で変化しませんでした。

〈準備物〉
100mL三角フラスコ、500mLビーカー、内側の直径が5mmで1cmごとに目もりをつけたガラス管、温度計、ゴムせん、スタンド、ガラスぼう

〈方法〉①三角フラスコに室温と同じ20℃の水を50mL入れる。

図2のように三角フラスコにガラス管をさしたゴムせんをする。この時点でのガラス管の下のはしからガラス管内の液面までの高さを「液面の高さ」として測定する。

20161006b_04③ビーカーの中に図2の三角フラスコを入れ、スタンドで固定したあと、ビーカーに約80℃の水をほぼいっぱいまで注ぐ。ただし、ガラスぼうでかきまぜてもこぼれない量とする。水を時々ガラスぼうでかきまぜ、ビーカー内の水の温度が60℃、50℃、40℃になったときのガラス管内の液面の高さを測定する。図3はビーカー内の水の温度が40℃のときのようすを示したものである。

④「③で測定した液面の高さ」から「②で測定した液面の高さ」をひいて、ガラス管内の「液面の上がった高さ」を求める。

⑤室温で保管していた別の100mL三角フラスコに、100mLの水を入れて、②~④の方法で実験を行う。なお、三角フラスコには室温と同じ20℃の水を入れる。

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 問題1 
次の文章は、図1の飲みかけの紙パックのお茶が、暑い車内に置くことでこぼれた理由を一郎さんが考えまとめたものです。文中のにあてはまる適切な言葉をそれぞれ答えなさい。

車内の温度が上がると、紙パックの中のお茶や空気の温度も上がる。温度が上がると、お茶も空気も体積が(  )なるためお茶がこぼれたと考えられる。ただし、お茶と空気をくらべると、温度の変化による体積の変化は(  )の方が大きい。そのため、お茶のこぼれる量は紙パックの中の(  )の体積にともなって大きく変化すると考えられる。

 問題2 
この実験で使用した三角フラスコの大きさ、三角フラスコに入れる水の量、ガラス管の内側の直径を、表2Ⅰ~Ⅲのように変えて同様の実験を行いました。ビーカー内の水の温度が40℃のときのⅠ~Ⅲのそれぞれのガラス管内の「液面が上がった高さ」は、表1の水100mLを入れた三角フラスコを使用した実験結果の19cmとくらべてどのようになったと考えられますか。下のア~ウから最も適切なものをそれぞれ選び、記号で答えなさい。

【京子さんの実験】
科学クラブでは、水そうで熱帯魚と共にたくさんの水草を育てています。水草を育てるために二酸化炭素のボンベを使って水の中に二酸化炭素をとかしています。どのくらいの量の二酸化炭素が水にとけるのかについて興味を持った京子さんは、科学クラブのなかまと相談し、次のような実験を考え、確かめることにしました。なお、実験中の室温は20℃で変化しませんでした。
20161006b_06 20161006b_07〈準備物〉二酸化炭素のボンベ、水(1℃・20℃・40℃)、100mL注射器(A、B)、ゴム管、ゴムせん

〈方法〉①注射器に20℃の水を50mL入れる。

②注射器に二酸化炭素のボンベから二酸化炭素を50mL入れる。

20161006b_08A、Bの注射器を図4のようにゴム管でつなぎ、注射器のピストンを完全に押しこみ二酸化炭素を注射器の方に入れる。

④注射器を離して、注射器に空気が入らないようにゴムせんをしてよくふった後、注射器の目もりを読みとり、水にとけなかった二酸化炭素の体積を測定する。(図5は、水の温度が20℃のときのよくふった後の注射器である。)

⑤①の注射器に入れる水の温度を1℃、40℃と変えて、それぞれについて②~④の方法で実験を行う。

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 問題3 
この実験の結果から考えると、100mLの二酸化炭素をすべて水にとかすには、最も少なくて何mLの水が必要ですか。水の温度を20℃として、表3の結果をもとに計算し、小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。ただし、この水を使用して①~⑤の方法で実験したとき、その結果は表3と同じになり、また、20℃の水にとける二酸化炭素の体積は水の体積に比例するものとします。

 問題4 
科学クラブの水そうは、厚さ1cmのガラス製で直方体の形をしており、内側の大きさは、たて30cm、横60cm、高さ36cmでした。この水そうの容積と同じ体積の20℃の水を用意し、その水に二酸化炭素をできるだけとかしたとすると、およそ何Lの二酸化炭素がとけますか。表3の結果をもとに計算し、小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。ただし、用意した水を使用して①~⑤の方法で実験したとき、その結果は表3と同じになり、また、20℃の水にとける二酸化炭素の体積は水の体積に比例するものとします。

 問題5 
注射器に二酸化炭素をよくとかした1℃の水を50mL入れ、その注射器を40℃の水につけると、注射器内の水中から二酸化炭素のあわが発生する現象が見られました。次の文章は、その現象が起きた理由について説明したものです。文中のにあてはまる適切な言葉をそれぞれ答えなさい。

水にとける二酸化炭素の体積は温度によって変化する。1℃と40℃の水では(  )の水の方が水にとける二酸化炭素の体積は小さいため、1℃の水に(  )二酸化炭素の一部があわとなって発生した。

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実験の条件のちがいに着目して考えよう。


来週も引き続き理科問題編です。今回の「条件の異なる実験の結果を考える問題(その1)」の解説をします。

【朝日小学生新聞2016年8月10日(水)掲載】