2017年度合格へのこの一問 資料問題編③

資料問題編③ ユニバーサルデザインから見る社会

執筆・早稲田進学会(大島茂) 

人に優しい社会をつくるためには、社会のさまざまなものが、すべての人にとって利用しやすいようデザインされていることが大切ですね。

ゆうとさんは、お父さんと2人でバスに乗って出かけました。
2人はバスを降りた後、次のような会話をしました。

ゆうと:お父さん、さっきのバス、乗り降りがとても楽だったね。
父 親:そうだね。あれは「ノンステップバス」といって、床を低くして乗り降りの際の段差をなくすよう工夫されたバスなんだよ。
ゆうと:あのバスなら、お年寄りや小さな子ども、それに足の不自由な人でも楽に乗り降りすることができるね。
父 親:乗降口の段差を小さくして、できるだけ多くの人が利用しやすいバスにしているよね。ノンステップバスのように、だれでも利用しやすいように設計されたものを、「ユニバーサルデザイン」とよんでいるんだよ。

ゆうとさんはノンステップバスに興味をもち、全国でどれくらいノンステップバスが走っているのかを調べたところ、資料1を見つけました。

20160902_3※ノンステップバスの導入率とは、全国の乗合バスの総車両数に対するノンステップバスの車両数の割合を表す。

問題1
資料1をもとに、全国の乗合バスにおけるノンステップバスの導入率は、1998年度に対して2013年度はおよそ何倍になっているか求めなさい。ただし、答えは小数第一位までのがい数で答えること。

ゆうとさんは、さらに、お父さんが話してくれたことに興味をもち、自分の身の回りにあるユニバーサルデザインについて調べ、次のようにノートにまとめました。

〈ゆうとさんのノート〉
ユニバーサルデザインとは
「すべての人のためのデザイン」を意味し、年れいや性別、障がいの有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用しやすいように工夫したデザイン。
ユニバーサルデザインの例
ノンステップバスは、乗降口の段差を小さくして乗り降りがしやすいよう工夫されており、高齢者や小さな子ども、足の不自由な人でも利用しやすい。

20160902_4ゆうとさんが、このノートを参考にして、身の回りでユニバーサルデザインの考え方が生かされているものを探したところ、家で使っているシャンプーとリンスのボトルのデザインについて、右のような違いがあることに気付きました。

問題2
シャンプーとリンスのボトルについて、下線部Aのデザインの違いがユニバーサルデザインの考え方を生かしているといえる理由を、利用する人の立場に立って説明しなさい。

ゆうとさんは、これからの社会ではユニバーサルデザインの考え方がますます重要になると考え、調べていくうちに、次の資料2、資料3を見つけました。

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問題3
資料2と資料3から読み取れることとして正しいものを、次のア~エからすべて選び、その記号を書きなさい。

ア 2060年には、日本の人口の2.5人に1人が65歳以上の高齢者となると予想されている。
イ 1991年の障がい者のうち、65歳未満の人は50%以下である。
ウ 1970年と比べ、2011年の障がい者数は3倍以上に増えている。
エ 2011年の65歳以上の高齢者のうち、約9%が障がい者である。

ゆうとさんは、ユニバーサルデザインについての調査を進める中で、自分が住んでいる岩手県に、「ひとにやさしいまちづくり条例」という条例があることを知りました。この条例は、ユニバーサルデザインの考え方に基づいたまちづくりを進め、だれもが暮らしやすい地域社会を実現しようとするものです。

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ゆうとさんが歩いていると、上の写真の場面に出会いました。

問題4
写真で見られる、資料4の下線部Bに当てはまると考えられる行為を具体的に書きなさい。また、その行為によってどのようなことが起こると考えられるか、例をあげて説明しなさい。

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解説・解答を見ないで、まず自分で分析してみよう!


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問題1 公立中高一貫校では、計算力を検査するために資料の数値を用いて、約何倍、約何%などを求めさせる問題が出されます。計算自体は割り算やかけ算と単純なものですが、けた数が大きいものがありますので、注意深く取り組みましょう。

問題2 理由を説明する問題ですが、「利用する人の立場に立って」という条件がついているので、どのような場面でどのような人が利用するのかなど、イメージを広げ考えていきましょう。

問題3 ア. 2.5人に1人とは何%に当たるのか。 イ. 1991年の65歳未満の障がい者の人数をたし算で求めると。 ウ. 障がい者数の合計を1970年と2011年で比べてみると。 エ. 2011年の65歳以上の人数を出し、その人数の9%を計算し、その人数と資料3の2655人を見比べます。注意深さと正確性が求められます。

問題4 「妨げとなる行為」は写真から明らかです。「点字ブロック」ということから、そこから起こることも予測がつきますね。


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問題1 およそ 47.4 倍

問題2 髪を洗うときに目を閉じていても手で触ってシャンプーとリンスのボトルを区別することができるので、目が不自由な人にとっても利用しやすいから。

問題3 ア、エ

問題4 行為の内容 誘導ブロックの上に自転車を停める。
どのようなことが起こると考えられるか 目の不自由な人が誘導ブロックを利用して歩いているときに自転車にぶつかってしまい、転んだりする危険がある。

【朝日小学生新聞2016年6月29日(水)掲載】