2017年度合格へのこの一問 理科問題編③

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理科問題編③ 気球のしくみを考えよう その1

執筆・早稲田進学会(上田竜夫) 

今回は、気球のしくみを考える問題(その1)です。

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20160615_03夏夫さんはお父さんと気球(図1)の大会の見学に来ています。
あとの 問題1問題5に答えなさい。

夏夫さんは気球が浮かぶしくみについて、お父さんに質問しています。

 

夏夫:お父さん、気球はどうして空に浮かぶことができるの? あたためられた空気が上に上がることはわかるけど。詳しく教えてほしいんだ。

20160615_04:そうだな、空気は目に見えなくてイメージしづらいから水の中で物体が浮くしくみから考えてみようか。例えば、プールの中では体が軽く感じるだろう。それは、自分の体で押しのけた水の重さの分だけ上向きの力を受けているからなんだよ。ある物体と、同じ体積の水とを比べたときに、重ければその物体は水に沈むし、軽ければ浮かぶんだ。図2を見てごらん。体積1000cm3の物体が押しのける水の体積は1000cm3になるよね。1000cm3の水の重さは1000gだから、図2の物体が1000gより重ければ沈むし、1000gより軽ければ浮かぶんだよ。このことは、空気の場合も同じで、空気中にある物体はその物体が押しのけた空気の重さの分に等しい上向きの力を受けているんだ。図3のような気球でいえば、気球が押しのけた空気の重さと比べて、気球の中のあたためられた空気の重さと気球の機体の重さ(球皮、バスケット、人など)の和の方が小さいとき、浮き上がるんだ。

夏夫:えっ、空気にも重さがあるの?

:そうだよ。資料1を見てごらん。しかも、空気はあたためられると重さが軽くなる性質があるんだ。

夏夫
:本当だ。あたためられた空気の重さは、あたためていない周りの空気の重さと比べると軽くなるんだね。

:この気球の体積は2000m3、機体の重さは480kgあるということなんだけど、資料1を用いて、この気球を離陸させるには、気球内の空気をどれくらいあたためなければいけないかもわかるかな? 今の気温が12℃だから、気球が押しのけるのは12℃の空気2000m3ということだよ。

夏夫
:気球が押しのける空気の重さは〔 ア 〕kgになるから、気球が浮き上がるには、気球内の空気が〔 イ 〕kgより軽くならないといけないね。ということは、気球内の空気をあたためて、温度が〔 ウ 〕℃をこえたときに離陸するんだ。

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問題1〔 ア 〕~〔 ウ 〕にあてはまる数を書きなさい。ただし、気球の体積と球皮の内部にある空気の体積は同じであり、気球内の空気の温度はどこも同じとします。

夏夫さんは大会会場でもらった気球の資料(資料2~資料4)について、お父さんと話しています。

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夏夫:この3つの資料はどうやって見たらいいの?

:この資料は、実際に気球を飛ばす前に、飛行計画を作成するためのものなんだ。資料2は、1~8の順に気球の高さを上下させるということだよ。それぞれの高さでふいている風にのって、気球は地面と平行な方向(水平方向)にも動くんだ。

夏夫:風まかせってことだね。だから、目的地に着くためには計画的に気球の高さを変える必要があるんだね。

資料3のような風がふいているとき、資料2のとおりに気球を上下させると、気球が資料4の線の上空を通るという飛行予定経路ができあがるんだ。

夏夫:そうすると、気球は離陸した後、高さ60mになるまでは、北からふく風にのるから、南の方へ移動するということだね。それに、気球が上昇する速さから考えると、北東の風に変わる高さ60mになるまでには40秒かかるね。このときの風の速さは秒速1mだから離陸地からA点までの水平方向の移動距離は40mだね。さらに資料2の1では高さ300mまで上昇させるから、次の2の動作を始めるときには、気球は資料4のB点とC点の間にいるんだね。

:そういうことだ。水平方向の移動距離と気球の高さの関係をグラフにしたこの資料(資料5)の続きをかいてごらん。気球の動きが理解しやすくなるだろ。注意する点は、気球の大きさは上昇する高さに比べたら十分小さいので、気球の大きさは無視するということだよ。例えば、気球のいずれかの部分が風の向きが変わる高さに達したら、それと同時に気球全体がその高さに達したと考えるんだ。それに、風の向きが変わるとき、気球の速さは、速やかに新しい風の向きとその速さに変わると考えるんだ。

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問題2 次の①、②の問いに答えなさい。
① 気球がB点を通過するときの高さは何mか、書きなさい。
② 気球がB点を通過するのは離陸から何分何秒後か、書きなさい。

問題3 下線部について、A点からD点までのグラフを資料5にかきなさい。また、B点、C点、D点の各点をA点にならってグラフ中に・で記入しなさい。

問題4 B点からC点までの水平方向の移動距離は何mか、書きなさい。

問題5 G点からH点までの水平方向の距離は1500mである。資料2の〔 エ 〕に入る時間は何分何秒後か、書きなさい。

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資料をていねいに読み取り、気球のしくみをしっかり考えよう。

【朝日小学生新聞 2016年6月15日(水)掲載 】