2018年度入試の動向 大学入試改革の影響 より鮮明

2018年度の中学入試が終わりました。今春の特徴をあらわすとすれば「2020年度からの大学入試改革を視野に入れた動向が、より浮かび上がった入試」といえるかもしれません。首都圏と関西地区の動きを中心に専門家に聞きました。(編集委員・大島淳一)

首都圏|早慶などの大学付属校が人気

進学塾・栄光ゼミナールによると、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)で私立中・国立中を受験したのは4万7千人ほど(速報値)。少子化の影響で、このエリアの小学6年生は前年度より7300人以上少なくなりましたが、受験者数は500人ほど増えました。こうした状況の要因について、栄光ゼミナール入試サポート部の山中亨さんは大学入試改革を挙げます。

大学入試を中心に「教育」にかんする動きがここ数年、注目を集めるなか、20年度から導入される大学入学共通テストの実施方針が示され、試行調査(プレテスト)も実施された。こうした流れに対応するかのように私立がいちはやく反応して「英語」をとり入れたり、「思考力」をみたりする入試を実施する一方、公立は新しい学習指導要領の実施を待たなければならない(小学校は20年度、中学校は21年度から)――。保護者はこうした印象をもち、特に私立に対する期待を高めているのではないかと、山中さんは考えます。

そのあらわれの一つが大学付属(系属)校の人気ぶり。大学入学共通テストでは国語と数学で記述式の問題がもりこまれるなど、いまの大学入試センター試験とは異なる対策が求められます。大学に内部進学できるのはもちろん、大学受験にとらわれない教育が期待できることから、前年度より受験者が増えた大学付属校がめだちました。その代表格が早稲田大学系と慶応大学系の各校。早稲田中や早稲田実業中等部、早稲田大学高等学院中学部(いずれも東京都)、慶応中等部(東京都)や慶応普通部(神奈川県)などでした。明治大学系(東京・明治大学付属明治中など)や学習院大学系(東京・学習院中等科、学習院女子中等科)、青山学院大学系で4月に女子校から共学校になる青山学院横浜英和中(神奈川県)も人気を集めました。

入試で「英語」をとり入れる学校も一段と増えています。理科や社会のかわりに受け、国語と算数の成績とあわせて合否を決めるという形が一般的。前年度は1都3県の60校あまりが実施しましたが、18年度は80校以上に増えました(栄光ゼミナール調べ)。20年度から小学校で正式な教科になり、大学入学共通テストでもいまの「読む・聞く」に加え、「書く・話す」という四つの技能が重視されるように。山中さんは「グローバル化に対応できる人材を育成するという目標を掲げ、とり入れる学校がめだつ。入学後、その力をどう高めるか、学校側がカリキュラムを充実させることが課題になる」としています。

関西|難関校めざす受験生が増加傾向

日能研関西本部の調べでは、関西地区(京都、大阪、滋賀、兵庫、奈良、和歌山の2府4県)の私立中を受験したのは1万6600人あまり(入試開始日の午前入試)。前年度にくらべて約200人少なくなりましたが、小学6年生の児童数が6000人以上少なくなったことが大きな要因のようです。受験率は9・3%から9・5%に上がりました。

18年度の入試の特徴として、日能研関西本部の森永直樹さんが挙げるのが首都圏と同じ「大学入試改革の影響」。新しい大学入試になっても高い学力が求められることから難関校に人気が集まったことがその一つです。兵庫・灘中の受験生が前年度の667人から727人に増えたのをはじめ、奈良・東大寺学園中は894人から911人、京都・洛南高校附属中が783人から805人、「3教科・4教科」の選択制入試をとり入れた大阪・四天王寺中は全コースを合わせて512人から621人に増えました。

関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館の各大学)の付属校の多くでも受験生が増加。大阪・関西大学第一中が前年度の395人から471人、兵庫・関西学院中学部は274人から287人(帰国生入試をふくむ)、京都・同志社中が454人から476人といった具合です。「大学につながっているという安定志向や、次の時代をとらえた6年間の教育の中身が評価された選択では」と森永さん。

大阪・大谷中など、図表とともに長めの文章を読み、自分の考えをまとめるという「思考力型」の入試をとり入れる動きもみられます。森永さんは「受験生の記述力を問うタイプの出題で、来春以降の入試でも増える可能性がある」ととらえています。

東海地区の場合、受験生が多い愛知県では私立中20校あまりの最終的な志願者数は1万2115人で、前年度より130人あまり増加しました。志願倍率は3・7倍でした(愛知県私学協会調べ)。

共通テストでも出題?

大学入試改革で求められる「思考力・判断力・表現力」をみるような出題もありました。東京・開成中が国語で出した問題が、その典型です。

商事会社につとめる2人の社員が発注した弁当の数や、時間の経過と売れ行きのようすをグラフで提示。それらとともに素材文を読んで解答するという出題でした。一方の社員を評価する点として「たしかに」「しかし」「一方」「したがって」という四つのことばを、この順番に使って記述させました。

資料を読み取り、解答する問題は大学入学共通テストの記述問題でとり入れられるとみられています。

【朝日小学生新聞2018年2月18日 掲載】