2018年度入試の時事問題 世の中の動きに対して敏感に

中学入試で多くの学校が出題する時事問題。2018年度は、どのようなテーマが取り上げられたのでしょうか。朝日小学生新聞(朝小)編集部が全国の国立・私立中学70校あまりの入試問題をチェック、出題の内容を調べました。19年度以降の受験を視野に入れているみなさんは、参考にしてください。(編集部学習グループ)

衆院選や憲法が頻出テーマ

よく取り上げられたテーマが「選挙」。2017年の秋に実施された衆議院議員選挙(総選挙)にかんする出題がめだちました。

東京・明治大学付属明治中は衆議院議員の定数(人数)にかんする正誤問題。正しい説明として「小選挙区から289人、比例代表から176人を選出」を選ばせました。秋の総選挙から、これまでよりも10人少ない計465人になったことがポイントでした。京都・同志社中でも正誤問題を出し、誤っている説明として「前回の衆議院議員選挙よりも国民の関心が高く、投票率が70%をこえた」を答えさせました(投票率は約54%)。

選挙権があたえられる年齢が「満18歳以上」に引き下げられて初めての総選挙だったことから、神奈川・栄光学園中では選挙権の移りかわりについて出題。国会ができてから現在までに、どのような人にあたえられてきたのか、いくつかの段階にわけて記述させました(例:1889年に直接国税15円以上を納める満25歳以上の男子にあたえられた。納税額の制限はゆるやかになり、1925年の普通選挙法によって満25歳以上のすべての男子に拡大。1945年に満20歳以上のすべての男女となり、2015年に満18歳以上に引き下げられた)。 選挙制度についての出題もめだち、鹿児島のラ・サール中では誤っている説明として「衆議院の比例代表選挙で全国をいくつかの選挙区にわけることをせず、すべての都道府県を通じて一つの選挙区としてあつかう」を選択させました。

2017年が日本国憲法の施行(1947年5月3日)から70年の節目だったことから「憲法」の出題も数多くありました。なかでも「天皇」についての出題が多く、鷗友学園女子中や豊島岡女子学園中(ともに東京)では「国事行為」に必要なものとして「(内閣の)助言と承認」を記述。奈良・西大和学園中や大阪・四天王寺中などでは国事行為にあてはまらないものを選ばせました(法律案をつくって国会に提出する/予算の承認)。

憲法改正を規定した第96条も頻出でした。東京・開成中では条文に空欄を設けて、適切な語句として「(各議院の総議員の)3分の2以上」「(国民投票などで)過半数(の賛成)」を答えさせました。

「核兵器」をめぐる動きも注目

「核(兵器)」をめぐる動きも頻出でした。東京・青山学院中等部は国連で採択された条約の名称として「核兵器禁止(条約)」を選択式で解答。この条約についての説明で正しくないものとして「核兵器の開発・保有・使用を禁止しているが、核兵器を利用した威嚇については明記されなかった」などを選ばせました。

愛知・滝中は、核兵器禁止条約のなかで「核兵器の使用による被害者」がローマ字でどう表現されているかを問い、「hibakusha」(被爆者)と答えさせました。日本が条約の交渉会議を欠席したこと、アメリカの核兵器で守られる「核の傘」で平和を保っている状況にあることを説明したうえで、条約の賛成派と反対派の橋渡し役として日本のすべきことについても意見をまとめさせました。

埼玉・浦和明の星女子中では、国際NGO(非政府組織)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が核兵器禁止条約の成立に貢献したとして2017年のノーベル平和賞に選ばれたというニュースを入り口にした出題。計10か国を示し、そのなかから核兵器を保有する国がいくつあるかを答えさせました(イギリス、中華人民共和国、フランス、ロシアの4か国)。

福岡県の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界文化遺産に登録されたというニュースも、よく取り上げられました。沖ノ島からは約8万点にのぼる宝物が出土していることから、大阪・大阪星光学院中では沖ノ島をたとえることばとして「(海の)正倉院」を記述させました。

理科分野の時事問題では「ヒアリ」。千葉・東邦大学付属東邦中など名称を答えさせる出題が中心でした。

電子マネーも出題

こうした典型的な時事問題が出る一方、さまざまな切り口から世の中の「いま」を問うパターンもめだちました。その一つといえそうなのが東京・学習院女子中等科の問題です。「海外からの観光客」をテーマにした出題のなかで、中国人観光客の目的が「爆買い」に代表される「モノ消費」から「コト消費」にかわりつつあると提示。「コト消費」について具体例を挙げて説明させました(例:和太鼓や書道の体験など、サービスや特別な体験といった無形のものに対する満足感を求める消費)。

「電子マネー」を取り上げたのは神奈川・浅野中。店の売り上げの増加に直接、影響するとはかぎらないものの、電子マネーを利用することで企業が得られるメリットを答えさせました。正答にあたる文に空欄を設け、語句を入れるという形式で「電子マネーを利用した顧客の『情報』を集積し、商品開発などに役立てる」と答えさせました。

【朝日小学生新聞2018年2月11日 掲載】