メンタルトレーナーが教えます 本番前の不安・緊張解消法

中学受験をする6年生は第1志望校の入試がせまってきて、不安や緊張を感じているかもしれません。スポーツ選手などを指導するメンタルトレーナーの高畑好秀さんは「見方を変える」ことをすすめます。(岩本尚子)

「合格しなきゃ」になってない?

「志望校に合格したい」という強い思いが、これまで勉強のやる気につながってきたでしょう。ただ、本番が近づき、「合格したい」という思いが、いつのまにか「合格しなきゃ」「不合格になりたくない」に変わってしまうと、不安で仕方なくなってしまいます。

中学入試本番といっても、やることといえば、これまでと同じようにテスト問題を解くだけです。同じ問題が模擬試験で出たとしたら、どうでしょう? 入試だからといって特別なことをするわけではないのに、「解けなくて不合格になったら……」と自分を追いつめると、どんどん難しくなるのです。

何かをなしとげたいという思い入れが強くなると、失うこわさが生まれてくるものです。

そんな時は、立ち返って考えてみてください。勉強は何のためにするのでしょう。知らないことを知るのはおもしろい。できないことができるようになるのは楽しい。やれるだけ、最大限の準備をして、勝負にのぞむ。それだけです。覚悟が決まれば、緊張はしません。

みなさんは将来、どんな大人になりたいのでしょうか。

夢を実現するための道のりは一つではありません。中学受験で第1志望校に合格できなかったことをバネに東京大学に合格する人もいれば、中学に入ってから勉強しなかったために大学受験に失敗する人もいます。

「親や先生の期待に応えたい、がっかりさせたくない」とプレッシャーを感じているのかもしれません。でも、中学受験は自分のためのチャレンジであり、周りの評価のためではありません。

保護者の方は、お子さんがプレッシャーを感じていたとしたら、安心させてあげてください。「これまでやってきたことを評価している。これからも全力で応援する。合格してもしなくても、気持ちは変わらないよ」と、言葉で伝えてあげてほしいと思います。

大きく呼吸 酸素を脳に

とは言っても、緊張に対処する「薬」は持っていたほうがいいですね。

私は、緊張には「赤い緊張」と「青い緊張」があるととらえています。はずかしくてのぼせるような「赤い緊張」をする人は、ぬらしたタオルで耳を冷やしてみてください。恐怖や不安で血の気が引く「青い緊張」をする人は、携帯用カイロで耳を温めてみてください。耳をふさいで周りの情報を遮断すると、気持ちが落ち着きます。

テストが始まる前には、大きくゆっくり呼吸します。酸素が脳にいきわたります。

試験は、猫背で受けないこと。背中が丸くなると息苦しくなります。猫背になっていると気づいたら落ち着いて、深呼吸してみてください。

【朝日小学生新聞2017年12月3日 掲載】