フォニックスの英語学習法 自分で読めて書けるように

英語のつづりと発音の対応関係を身につける学習法「フォニックス」。2020年度から小学校の英語教育がかわるのを前に注目度が高まっています。子ども向けの英語教育や教材開発を手がける「mpi松香フォニックス」の会長、松香洋子さんにフォニックスの特徴などを教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊)

まつか・ようこ
フォニックス学習を日本で初めて本格的に導入。著書に『アメリカの子供が「英語を覚える」101の法則』など。

つづりと発音を対応させる

フォニックスは19世紀に英語圏で考案された子ども向けの学習法です。いまも家庭や学校で広く教えられています。

日本語では「あいうえお……」と、かなを覚えれば単語も文も読めるようになります。でも、英語では「エー、ビー、シー……」とアルファベットの名前を覚えても、単語を読めるようにはなりません。aは「ア」、bは「ブ」、cは「ク」というように字と音を対応させて覚えていくのがフォニックスです。箱を意味するboxなら「ブ」「オ」「クス」とそれぞれの音を組み合わせて「ボックス」と読みます。

松香さんは日本人向けに改良を加えて、計84のルールを設けました。それらを8~10段階で学んでいきます。一つの字と一つの音の関係を身につけたら、次はeが単語の最後につくものを学習します。cake(ケーキの意味)などaは「エイ」、次のeは読まない「サイレントe」といった感じで、さらにshop(店)のshなど、二つの文字が1音を表すものを学んでいく……といった具合です。記事のなかではカタカナで音を表していますが、実際の指導ではカタカナを使いません。

フォニックスで学ぶのは「原則」です。たとえばoは1字では「オ」ですが、ooと2字が連続すると「ウ」や「ウー」と読むのが一般的。book(本)やfood(食べ物)がその例です。door(戸)も同じ形ですが、これは例外。まずは基本的なルールを学ぶことを重視しています。中学で学ぶ英語の教科書に出てくる単語の場合、7割はこのルールで読めるといいます。

「週に1回のペースで学ぶなら2年間。毎日取り組んだら半年で身につけられる」と松香さん。「つづりを見たら、通じる発音でいえる。英語を聞いたら、つづりを推測して書ける。つまり、自分で読めて書けるようになる」と効果を説明します。

合理的に楽しみながら読む

一方で「そんなことをしなくても、自然に覚えられる」という声も。松香さんは「英語学習が好きな人なら、フォニックスを必要とする度合いが低いのは当然です。でも、単語と読み方を1語ずつ暗記するより合理的。楽しみながら読めたら、子ども自身もうれしいはず」と考えます。

フォニックスを学校で導入する動きもあります。神奈川県大和市では昨年度から市内の小学校で教材を活用。大阪府と松香さんらが共同で開発した教材もあり、府内の半分以上の小学校で使われているそうです。

市販の教材を使って家庭でフォニックスを学ぶ場合、松香さんは親子で取り組むことをすすめます。「親が『なるほど、そうだったのか』と、のめりこむことも多いですよ」

【かわる小学校の英語】
 新しい学習指導要領が全面的に実施される2020年度から5年生と6年生の「外国語」(英語)が正式な「教科」になります。いまの5、6年生が受けている「外国語活動」は3年生と4年生が対象に。18年度から一部で先行実施されます。新指導要領の解説では5、6年生に「音声と文字とを関連づけて指導する」としています。

【朝日小学生新聞2017年11月19日 掲載】