求められるのは知識?思考力?「思考コード」で入試問題を分析

入試問題を分析する新しい手法「思考コード」。模擬試験(模試)を実施する首都圏模試センターなどが開発したもので、知識や思考力がどの程度求められているのか、出題を九つのマス目で分類します。学校ごとの傾向をとらえることで、力を入れたい勉強の「方向」をおさえられるといいます。(編集委員・沢辺雅俊)

傾向とらえ対策に生かす

ひとくちに入試問題といっても、単純な知識を問うものから自由に発想を広げるものまで、さまざまです。思考コードは、横軸を左から「知識・理解思考(A)」「論理的思考(B)」「創造的思考(C)」、たて軸を下から「単純(1)」「複雑(2)」「変容(3)」と、それぞれ規定。出題がどの位置にあてはまるか分類します。

日本にキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルについての出題を例に挙げながら説明しましょう。

人名を答えたり、年代順に出来事を並べたりする出題は、知識を問うのでAの列。日本に来た目的などについての出題は、論理的な思考力を問うBの列です。「あなたならザビエルをどうサポートするか」など、自由に記述させる出題は、Cの列です。また、下から上にいくほど、出題の難易度は高くなります。

このように出題をこまかく分類するのが思考コードの特徴。首都圏模試センターの山下一さんは「学校側が受験生に対してどのような力を求めているのか明確にできる」と話します。

たとえば中堅校の場合、知識を重視する傾向があり、真ん中から左下にかけて位置します。「御三家」とよばれる首都圏の難関校などは上にシフト。麻布中や武蔵中(ともに東京)など、発想力が求められるタイプは、さらに右寄りになります。

こまかい知識よりも記述する力が重視されがちな公立中高一貫校(適性検査型)は、真ん中から右下のゾーン。最近の入試で注目を集める新しいタイプの入試(思考力テスト型)は、右上に広がります。

思考コードのもとになったのは、アメリカの教育学者ベンジャミン・ブルームや弟子たちによる教育目標の分類です。これをベースに、私立学校研究家の本間勇人さんと首都圏模試センターが開発しました。

同センターでは去年4月の模試から活用。それぞれの設問が9マスのどの位置に分類されるかを示し、模試の受験者に対して「どの領域が強いのか(弱いのか)」といったことがわかる資料を提供しています。

さまざまな評価について、思考コードに近い考え方(評価軸)を導入している学校も。三田国際学園中高や工学院大学附属中高(ともに東京)では、授業やテストのあり方などに、9マスの分類を生かしています。

山下さんは「思考コードによるメリットは大きい」と考えます。学校ごとの「出題の意図」を大まかにとらえることができ、志望校の傾向に沿った勉強に取り組めるといいます。「どのような力をのばしたいか、保護者が意識できると家庭でも適切にサポートできる」としています。

【朝日小学生新聞2017年10月22日 掲載】