それは本当に「ケアレスミス」? 確かな計算力を習得する

算数の「土台」となるのが計算です。でも、思わぬところでつまずいてしまうことがあります。中学受験のプロ家庭教師「きょうこ先生」として知られる安浪京子さんに、受験に向けての学び方や教え方のポイントを聞きました。ぜひ親子で読んでみましょう。
(編集委員・沢辺雅俊)

教科書レベルで「穴」がある

 「来春の入試をめざす受験生でもこの時期、計算でミスしたり、計算問題が解けなかったりしてなやんでいる子は多い」。きょうこ先生はこう話します。
 ミスの原因は、子どもの力によって異なります。学力が上位の場合、原因はおもにメンタル(精神)面にありそう。睡眠不足や体力・気力が十分でないときに「約分を忘れる」「問題文を読みまちがえる」といったミスをしがちです。

 大手進学塾が塾内でおこなう試験で偏差値が50以下の場合、「実は教科書レベルの部分で『穴』があることが多い」ときょうこ先生。本人も保護者も「ケアレスミス」と思うかもしれませんが、ただの注意不足ではなく、根本的な部分で理解できていない場合が少なくありません。

 理解をさまたげているものは何か――。知る手がかりになるのが答案やノートです。書き方が雑だったり、途中の式を省略して書かなかったりするとミスをしがちです。家庭でも「ていねいに書きなさい。途中の式も書きなさい」と注意しているはずですが、きょうこ先生は「それでは子どもはわからない」と、くぎを刺します。「なぐり書きをしない、筆圧を一定にする、文字サイズをそろえるなど、保護者が具体的に教えないとわかりません」

 式を書くスペースと、筆算を書くスペースをわけることも重要です。途中の式は「=(イコール)」の位置を縦にそろえるのが鉄則。この式は論理的に考えているかどうかを確認するための指標にもなります。
 入試で配られる問題用紙や解答用紙は計算式や筆算を書くスペースがかぎられている場合がめだちます。うまく配分して書けるようになる必要があります。

保護者が横にはりついて見る

 では、計算力を高めるには、どうすればいいのでしょうか。きょうこ先生がおすすめするのは、子どもが計算するのを保護者が横にはりついて見ること。1日2問程度でかまわないそうです。「問題の数が多いと『やっつけ』になってしまいます」

 解き終えたら、なぜそう解いたのか説明させてから保護者が指導。毎日取り組むことで、計算のやり方を忘れずに維持できるだけでなく、つかれがたまっていないかなどコンディションも把握できます。時間は5~10分程度。共働きの家庭など平日が忙しければ、休日にまとまった時間をとるといいそうです。

 「保護者が寄りそい、勉強を見ると子どもも安心する」ときょうこ先生。「計算力は親次第の面があります。勉強を教えられるのはいまの時期だけ。スキルだけでなく、きずなも育んでほしいですね」

【朝日小学生新聞2017年9月20日 掲載】