専門塾の責任者に聞きました 海外トップ大に進学するには?

ハーバードやイェール、プリンストン。こうした海外のトップ大学に高校を卒業後に進学するのも「あり」かも――。そんなあこがれを持つ小学生や保護者も少なくないかもしれません。アメリカの名門大に留学するには、どのような準備をすればいいのでしょうか。ベネッセコーポレーションが運営する海外トップ大をめざす中高生向けの塾「ルートH」の責任者、尾澤章浩さんに教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊)

課外活動やエッセーも評価

海外にある大学への進学熱の高まりを受け、尾澤さんは「問い合わせは年々増えています」。ルートHは9年前に開校し、ことしはハーバード大に4人が合格するなどしています。
トップの大学は「多様性」が魅力。アメリカ各地はもとより、各国から学生が集まります。世界中から優秀な学生が出願するので入学審査のハードルは高く、ハーバード大などでは留学生の合格率は1%ほどです。

審査は日本の大学入試とは異なります。日本の一般入試では主に学力が問われますが、高校時代の成績(内申)やテストの成績だけでなく、自分自身の経験を書いたエッセーや課外活動などもふくめて総合的に評価されます。出願書類=イラストを参照=をそろえ、高校3年の1月1日までにインターネットを通じて出願するのが一番多いパターン。面接は2月ごろ、日本にいる大学の卒業生と対面しておこなうことが多いそうです。
準備が必要なものは大きく三つ。高校の成績と英語のテスト、課外活動の受賞歴です。少しくわしくみていきましょう。

高校での成績は5段階評価なら平均で4・6以上が目安。できるだけ「オール5」に近づけます。英語の試験は留学などに使われるTOEFLで120点中100点以上。英検1級と同レベルか、それ以上です。
アメリカの大学入試センター試験にあたる「SAT」(進学適性テスト)は、英語と数学の計1600点で1500点はほしいところ。日本の生徒にとって数学は易しく感じられますが、英語はかなり難しめ。日本の会場で受けられます。

課外活動も重要です。中学3年以降の受賞歴について「国内の数学オリンピックで上位入賞」「英語のディベート大会で全国大会優勝」などをアピールします。「賞をとれば武器になるが、なくても受かる生徒もいる。その場合、ほかの評価項目が強いわけです」と尾澤さん。
エッセーも欠かせません。A4の紙2枚程度、650語以内でまとめます。テーマは自分のバックグラウンド(背景)や失敗談とその教訓など。大人をうならせる英文にするため半年ほどかけて20回くらい書き直します。

早ければ中1ごろから意識

こうみると、どれもため息が出るほどのレベルの高さ……。英語が得意な帰国子女が有利なのはたしかで、ルートHの塾生でも6割ほどを占めます。しかし、尾澤さんは「これまでハーバードに受かった15人のうち5人がいわゆる『純ジャパ』。海外経験がなくても、何かで突き抜けている子は評価される」。準備を始める時期は、早い場合は中学1年のころから意識し始めるそうです。

肝心の費用はどの程度かかるのでしょうか。学費は私立大では年に500万~600万円、寮費などに100万円ほど。「到底無理!」とも思える額ですが、ハーバードやイェール、プリンストンは年収が6万5千ドル(約710万円)未満の家庭には全額を出す奨学金制度があります。つまり、受かってしまえばお金の心配はほぼ無用。地方から上京し、下宿して東京大学に通うより、安くすむかもしれません。

尾澤さんは「海外のトップ大では、ふつうにノーベル賞受賞者に教えてもらったり、大統領が講演に来たりします。好奇心が旺盛でいろいろなことに取り組む子や、一つのことにとことん打ちこむ子は、この道を考えてみてもいいのではないでしょうか」とアドバイスします。

【朝日小学生新聞2017年8月27日 掲載】