国立・私立中50校の入試をチェック 選挙権年齢引き下げで出題増

中学入試で多くの学校が出題する時事問題。2017年度はどのようなテーマがよく取り上げられたのでしょうか。朝日小学生新聞(朝小)編集部が全国の国立・私立中学50校あまりの入試問題をチェックし、出題の内容を調べました。来年度以降の受験を視野に入れているみなさんは、参考にしてください。(編集委員・大島淳一)

「核」に関連する問題も幅広く

1月22日付のこのコーナーでは1月に実施された関西地区の入試を中心に時事問題のテーマをふり返りました。今回はその内容もふくめてみていきます。
出題されたテーマでめだつのが「選挙」です。2016年の夏に実施された参議院議員選挙(参院選)が、投票できる年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げられてはじめての国政選挙だったことから取り上げられました。

大阪・四天王寺中では参院選の結果について出題。正しい説明として「参議院の定数の過半数を自民党と公明党の議員で確保した」を答えさせました。
大阪・清風南海中や千葉・国府台女子学院中学部をはじめ、多くの学校が出題したのが選挙権年齢の「18歳」です。東京・桜蔭中では国政選挙だけでなく、地方議会の議員を選ぶときの選挙権年齢として、この年齢を選択。鹿児島のラ・サール中では市長、市議会議員、衆議院議員、参議院議員の被選挙権についての正しい説明として「市長、市議会議員の被選挙権は25歳以上、参議院議員の被選挙権は30歳以上」を選ばせました。
選挙権をあたえられる資格(条件)にかんする問題もよく出ました。なかでも1890年におこなわれた国政選挙(第1回衆議院議員選挙)の資格(「直接国税15円以上」「満25歳以上の男子」)は頻出でした。

選挙区によって有権者の数が異なり、投票の価値に差が出る「一票の格差」を小さくしようと、参院選では「合区」を導入。人口が少なく、となり合う県の選挙区を一つにするもので、東京・大妻中などはこの方法の名称を出題。合区がとり入れられた県の組み合わせ(「鳥取・島根」「徳島・高知」)もよく問われました。

「選挙」にかんして、京都・洛星中などはアメリカで実施された大統領を決める選挙の結果、選ばれた人物として「ドナルド・トランプ」氏を記述、東京・開成中などでは去年夏の東京都知事選挙で当選した「小池百合子」氏を答えさせました。
アメリカのオバマ大統領(当時)による被爆地の訪問や「核」に関連する出題もめだちました。東京・学習院女子中等科の出題がその典型で、広島を訪問した人物の名前や大統領に就任したあとに「核なき世界」の演説をしたチェコの首都(プラハ)などを出題。日本の首相をつとめた人物(佐藤栄作)がとなえた「非核三原則」について「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」を記述させ、世界遺産に登録されている原爆ドームが「負の遺産」といわれる理由についても答えさせました(解答例:大勢の命をうばった原子爆弾による悲劇がくり返されないように「いましめ」とする、など)。

世界遺産や英国のEU離脱も

「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界文化遺産に登録されたというニュースもめだちました。
登録された作品があるのはフランス、日本、ドイツ、スイス、ベルギー、アルゼンチン、インドの7か国。東京・上野の国立西洋美術館本館がふくまれていることから、とくに首都圏の入試で出ました。

その一つが神奈川・慶応普通部。登録された作品の名前(西洋美術館)はもちろん、国内にある世界遺産のうち、二つの都道府県にまたがる「白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜・富山)」「古都京都の文化財(京都・滋賀)」「白神山地(青森・秋田)」「富士山(山梨・静岡)」を東から順に並べさせました(実際の出題では都道府県はもり込まれていません)。開成中では作品がある7か国のうち4か国について説明した文章と世界地図を示し、説明にあてはまる国名と位置を答えさせました。

「イギリス(英国)がEU(ヨーロッパ連合)から離脱へ」というニュースも取り上げられました。千葉・渋谷教育学園幕張中ではこの出来事について正誤を判断。「イギリスではEUからの離脱を問う国民投票がおこなわれ、EUからの離脱の支持票が反対票を上回る(正しい)」「キャメロン首相が辞任し、イギリスでははじめて女性のメイ首相が誕生(誤り・メイ氏は史上2人目の女性首相)」といった出題でした。
理科では日本の理化学研究所がみつけた元素「ニホニウム」について千葉・東邦大学付属東邦中や東京・麻布中が名称などを出題。2016年のノーベル医学生理学賞に選ばれた大隅良典さんの「オートファジーのしくみ」も東京・学習院中等科などが取り上げ、どのような研究内容か選ばせました。

【朝日小学生新聞2017年2月12日 掲載】