中学受験する? しない? 子どもの将来を見すえた視点で

今春の中学入試もそろそろ終盤。本番に臨む6年生を目の当たりにして、低・中学年の子どもがいる家庭では数年後の受験(受検)をめざすかどうかを考え始めているかもしれません。どのような視点で考えるのがいいのでしょうか。中学受験にくわしい専門家に聞きました。(編集委員・沢辺雅俊)

受験はゴールではなく過程

受験(受検)するかどうか、考えを左右する要素の一つが地域の状況です。首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)の場合、6年生の5人に1人が受けるとみられます。近畿(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)では10人に1人程度。一方、通学圏内に私立中などがない地域も少なくありません。

試験や適性検査を受けて入学するのは、私立中や国立大学の付属中、公立中高一貫校などです。

私立中は独自の理念にもとづいた教育をするのが特徴で、難関大学への進学実績が魅力という学校も。中学・高校の6年間、私立に通うと「学習費」は平均で700万円、公立の場合は267万円です(文部科学省、2014年度「子供の学習費調査」から)。

国立大学の付属中も進学実績が強みというところがめだちます。公立中高一貫校は、学校ごとに特色がある教育を受けられます。

教育ジャーナリストで『偏差値だけに頼らない私立中学選び』などの著書がある杉山由美子さんは「出来がよくてやる気があり、親もがんばれるなら、受験もいいのではないか」と考えます。ただし、実際に「出来がよく、やる気がある子」は少数派。勉強するよう、親の働きかけが欠かせません。

3年生の冬に入塾テストを受け、2月から通い始めるというのが一般的な流れ。もちろん、5年生に進級するとき(4年生の2月)から通い始めることもできますが、その場合、カリキュラムは先に進んでいるものと考えます。塾に相談して「穴」をうめることが大事です。

4年生のときは週2~3日、学年が上がるとさらに増えて習い事との両立も難しくなりがちです。杉山さんは「受験に向けていったん動き出すと、なかなか抜けられないのが実情。経済的にも時間的にも負担がかかることを忘れないように」と注意をうながします。「受験はゴールではなく過程。『どんな大人に育てたいか』まで、見すえるべきです」

学校選び、塾…まず情報収集

「中学受験向きの子、高校受験向きの子がそれぞれいるわけではない。いつの時点で学習方法を身につけるか、そのちがいです」。家庭教師の「名門指導会」代表で『中学受験は親が9割』の著者、西村則康さんはこう話します。「子どもが『○○ちゃんが塾に通っているから私も行きたい』と話しても、それは気分にすぎない。受験の理由を、子どもの気分におしつけてはいけない」と、くぎをさします。

受験するかしないか、判断のポイントは「家庭の方針」にあります。中学に期待するものは何か、よく話し合うことが必要です。そのうえで受験する考えであれば、通学圏内(片道45分以内が目安)にある学校の資料を取り寄せてみます。「宣伝文句ばかりと思うかもしれませんが、意外に学校の意欲や方針がわかります」と西村さん。

塾に通う場合、西村さんは大手塾をすすめます。カリキュラムが整い、最新の入試傾向を把握しているからです。

ただし「最難関校向け」「雰囲気が体育会系」など塾の特色はさまざま。「テキパキしているか」「計算や漢字で先取り学習ができているか」など、子どもの性格や勉強の進み具合によっても相性がいい塾はかわります。

また、地元密着型の塾のなかにも力量のある先生がいて、生徒の面倒見がよいところがあります。

家庭教師や個別指導型の塾を選ぶ場合、「いい先生」を見極めることが重要。指導のときに親が同席してみるのが一つの方法で、子どもが生き生きしているかどうかで判断します。

西村さんは「暗記にたよるのではなく『あぁ、なるほど!』と納得がいく勉強をしてほしい。家庭では『あなたならできる』と信頼して、お子さんに接してください」と強調します。

【朝日小学生新聞2017年2月5日 掲載】