中学受験の経験 どう生かす 基礎学力が大学進学の力に

関西では入試の結果がおおむね出そろい、東京都と神奈川県にある学校では2月1日から本番をむかえます。「中学受験」という経験をこれから、どのように生かすといいのでしょうか。精神科医で受験アドバイザーの和田秀樹さんに教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊) 

計算力や読解力が成果を出す

すでに第1志望校に合格した人やそうでない人、これから本番をむかえるという人もいるでしょう。状況はさまざまですが、共通していえるのは、中学受験で身につけた基礎学力は大学受験でも、かなり力になるということです。それがないまま、中学や高校で勉強しても、結果を出すのは容易なことではありません。

具体的には計算力や読解力です。たとえば大学入試センター試験の理科でも、化学や生物で使うのは四則計算。計算が速いと相当有利です。

一方で痛感するのが高校生の読解力が落ちていることです。話し言葉で書かれた参考書でもよく理解できなかったり、英語の長文問題で日本語の訳を読ませたうえで答えさせても、正答を導けなかったりします。読解力はどの教科でも基礎になります。

私自身、福島にある私立の中高一貫校(磐城緑蔭中学・高校)の学習指導をしていますが、その地域は中学受験は一般的ではありません。生徒たちには、中1の夏休みまで中学受験用の計算問題や国語の読解問題に取り組ませてから先取り学習をした結果、かなり良好な成果をあげました(昨春卒業16人。1人が福島県立医科大、4人が慶応大に合格)。私が代表を務める医学部をめざす生徒向けの中高一貫塾でも最初に基礎学力と読解力をつけることを指導しています。

中学受験が一般的ではない地域の場合、実際に受験するかどうかは別にして、受験用の問題集に取り組んでみると、力がつきます。学校で学んでいる内容との差もわかります。「ここまでやっているのか」「負けないように勉強しよう」と思うことが大事です。

学習習慣を失わないように

第1志望校に合格した子は、それなりに自信を持っていいでしょう。ただし、それがゴールではありません。入学後に何もせず、6年後にトコロテン式に難関大学に入れるわけではありません。

第1志望校に届かなかった場合、6年後の逆転を期します。中1のはじめに習う内容はどの学校も同じ。ふり出しにもどるので、チャンスと考えます。

受験で身につく大きな財産は学習習慣です。一日に3時間も5時間も勉強してきましたが、実はこの習慣は失われやすい。歯みがきの習慣を身につけたあと、歯をみがかないと気持ち悪く感じると思いますが、勉強はそうではありません。受験を終えたあとに遊びほうけていると、中学入学後に家庭学習を始めたとき、たとえ短時間であってもきつく感じます。そうならないよう、一日に1時間は勉強しましょう。

保護者は合否の結果を気にしすぎないように。受かって浮かれてしまう親もいますが、たとえばお祝いの旅行もすぐにではなく、中学での勉強にある程度、めどがつく夏休みや冬休みに出かけるのがいいのではないでしょうか。
残念な結果でも同じです。本人がいちばんショックなだけに、親も落ちこんだら、さらに大きなダメージになりかねません。

受験は「頭のよしあし」ではなく、やるべきことをやれば、しっかり結果がついてきます。スポーツなら、フォームなど「やり方」を教わってから練習しますね。やり方を身につけることが重要なのです。

【朝日小学生新聞2017年1月29日 掲載】