17年度入試の時事問題 出題傾向とらえて次に生かす

2017年度の中学入試は関西地区の学校が一区切りつき、東京都と神奈川県にある学校では2月1日から始まります。今春の入試では、どのような時事問題が出題されているのでしょうか。社会を中心に、関西地区や1回目などの入試を終えた首都圏の学校で出た問題をみてみました。これから入試に臨む受験生がおさえておきたいポイントも紹介します。(編集委員・大島淳一)

参院選を切り口に選挙権の資格を問う

テーマでめだつのが「参議院議員選挙(参院選)」を切り口にした出題。2016年の夏におこなわれました。兵庫・神戸女学院中学部では「1回の通常選挙で選ばれる参議院議員の人数」を問いました。参議院議員は定数が242人で、任期は6年。3年ごとに半数が改選され、1回の選挙では121人が選ばれます。

選挙区によって有権者の数が異なり、投票の価値に差が出る「一票の格差」を小さくしようと、参院選では「合区」もとり入れられました。人口が少なく、となり合う県の選挙区を一つにするもので、埼玉・淑徳与野中では合区の正しい組み合わせとして「鳥取・島根」「徳島・高知」を選ばせました。

投票できる年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に引き下げられて初めての国政選挙だったことから、選挙権をあたえられる資格(条件)にかんする問題もよく出ました。京都・洛星中が典型的な出題で、上のような表を示して年齢や直接国税の金額を問い、去年の参院選については投票率も選択させました(54・7%)。とくにめだつ出題が1890年におこなわれた国政選挙(第1回衆議院議員選挙)の資格。埼玉・栄東中や千葉・市川中などが「直接国税15円以上」「満25歳以上の男子」を答えさせました。

アメリカのオバマ大統領(当時)による被爆地の訪問や「核」に関連する出題もありました。大阪・四天王寺中はオバマ大統領の訪問先として「広島」を記述。奈良・西大和学園中は広島に原爆が投下された日を答えさせました(1945年8月6日)。大阪・関西大学第一中は「核兵器をもたず、つくらず、もちこませず」という原則をとり上げて「非核三原則」と書かせました。

憲法にも目配り 国事行為マーク

「憲法」をテーマにした問題もよく出ています。天皇陛下が生きている間に天皇の位を皇太子さまにゆずる「生前退位」の考えをにじませたことに関連して、天皇にかんする規定が頻出。千葉・国府台女子学院中学部(去年12月実施)のように第1条の条文に空欄を設け、適切な語句として「象徴」を答えさせる問題がめだちます。

これから入試を受ける場合、「天皇の国事行為」をマークしておきます。大阪・大阪星光学院中や栄東中などは国事行為としてあやまっているものを選ばせました。内閣や国会の役割(仕事)がもりこまれていたり、憲法では「~条約を公布」と規定されている部分が「~地方自治体の条例を公布」となっていたり。こまかい部分まで正しくおぼえておくことが欠かせません。

前年度の入試でもよく出た第9条(戦争の放棄)や第96条(改正の手続き)も同様です。第9条では「国権の発動」「武力の行使」「交戦権」、第96条では「(衆議院・参議院の)各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議」「承認には特別の国民投票または~(一部省略)において、その過半数の賛成を必要」といった部分がポイントになりがちです。

「イギリスがEU(ヨーロッパ連合)から離脱へ」というニュースもよく出るテーマのようです。国(イギリス)や国際組織(EU)の名前をおさえておくのはもちろん、EUの特徴もとらえます。
洛星中では正しい説明として「ベルギーのブリュッセルに本部を置き、加盟国の間で人・もの・お金などの行き来を自由にすることで地域内の経済発展や政治統合などをめざしている」を選ばせました。

「三重・伊勢志摩サミット開催」「地球温暖化防止のパリ協定」「大隅良典さんがノーベル医学生理学賞を受賞」「オバマ大統領の後任にドナルド・トランプ氏」といったニュースも時事問題としてとり上げられており、目配りしておくのがよさそうです。

【朝日小学生新聞2017年1月26日 掲載】