スランプは必ず通る道 大人が原因を見極める

中学受験を前に、これまでできていたことができなくなり、成績ものびなやんで、あせってばかり……。そんなスランプにおちいってはいませんか。もしそうなったらどうしたらよいか、早稲田アカデミー教務部長の入吉弘幸さんに聞きました。(今井尚)

解決パターンは一律ではない

いままでできてきたことが急にできなくなることをスランプと呼ぶのであれば、確かにスランプは受験生に起こりうることです。人によっては何事もなく順調に過ごせる場合もありますが、かなりの子が経験するといってよいでしょう。

10人いれば10種類のスランプがあるといえるほど、起こり方はさまざまです。解決するための一律のパターンはないと思います。
単にはげますだけでは回復しません。原因は何か、しっかり見極めなければなりません。本人はまず見極められませんから、ここは大人の出番です。

スランプの原因は、受けたテストの結果だけを見ていてもわかりません。過去にその分野でつまずいたなど「トラウマ」的なものがあるのかどうか、過去のテストではどうだったのか、できるだけ客観的に、時間軸を広げて考えてみる必要があるでしょう。

原因は本人にあるのか、友だちと何かトラブルがあったか、もしかしたら保護者や先生に原因があるのかもしれません。本人のことをよく知る大人が相談しあうことが大切です。

プラスに変える力をつける

スランプにおちいらないようにする方法は、ないといっていいでしょう。むしろ、スランプになるものだと心得ておくほうがいい。「スランプも一つの経験だ」と前向きにとらえることも大事です。人間はかべにぶつかり、それをのりこえていくことで成長します。なるべくスムーズに成長させてやりたいと願う保護者の気持ちはわかりますが、長い人生にはさまざまな困難が訪れます。大人だってスランプを経験します。

むしろこの時期に経験するスランプは、マイナスをプラスに変える行動を学ぶチャンスでもあります。スランプをのりこえる力を身につけることは、成長において重要です。かべに当たり、成長できたことに感謝するくらいの気持ちを持ちたいものです。受験が終わった時にふり返ってみて、「よい経験をした」といえるような過ごし方をしてもらえたらと思います。

理解度の問題?

4、5年生は新しい学習内容を学んでいる途中です。スランプにおちいったと思っても、それはスランプではなく、しっかり理解できていないだけかもしれません。注意が必要です。また、反抗期が訪れたり、体調が変化したりすることなどがもとで、ふだんとれていた点数がとれなくなることもあります。

毎年受験生を見てきて感じるのは、子どもに「労力」をかければかけるほど、子どもの幸せにつながるということ。受験を通していい経験をした子は、おおむね、いい結果になるものです。順風満帆で育つ子はまずいないということを、保護者が知っておくことが大切だと思います。

【朝日小学生新聞2016年12月4日 掲載】