9年間の一貫教育にトライ

義務教育学校 池島学園(大阪府東大阪市)

9年間の義務教育をひとつなぎのカリキュラムで学ぶ「義務教育学校」。2016年に始まった新しい学校の形です。大阪府東大阪市では今年度からすべての小中学校で一貫教育を取り入れ、二つの義務教育学校が開校しました。小学3年から7年間、同じテキストを使って学ぶ独自の教科「夢TRY科」の授業をのぞいてみました。(中塚慧)

防災などを学ぶ「夢TRY科」

 「夢TRY科」は東大阪市が今年4月に始めた独自の教科です。市内の全小中学校の小学3年から中学3年までが年に15コマ、同じテキストを使って防災や金融、社会のしくみなどを学びます。

7月中旬、市立義務教育学校池島学園では6年3組の約30人が、「夢TRY科」の授業を受けていました。この日のテーマは「災害へのそなえ」です。

「2018年に日本で体で感じる地震はどれくらい起きたでしょう?」。担任の森村高明先生が子どもたちに問いかけました。答えは「2179回」(気象庁調べ)。「そんなに多いんだ」とおどろきの声が上がります。

授業の目的は、災害のメカニズム(しくみ)を知り、防災意識を高めることです。地震が起こる一つの理由として、地球の表面をおおうプレート(岩板)どうしがぶつかることなどを学びました。日本は四つのプレートが接するところにあるため、地震が多いのです。地震によって起こる津波が、沖合ではジェット機並みの時速800キロになることも知りました。

「しくみがわかったら、どんな対策ができるかな」と森村先生。グループで話し合い、意見を交換しました。中田巴椛さんは、「津波が来たら、できるだけ早く高台へにげるといい」。去年6月に大阪北部地震が起きたのは、子どもたちの登校時間でした。平野祥帆さんは「道路脇でしゃがんで身を守りました。そのときはあわてていたけど、これからは落ち着いて行動したい」といいます。

同じテーマを7年間続けて

6年生の沖中琥哲さんは「夢TRY科は、答えが一つでないことをみんなで話し合えるから楽しい」と話します。この教科の特徴は、同じテーマを7年間続けて勉強していくことです。ルールを守る大切さを学ぶ「よりよい社会をきずくために」では、小学部で世界のじゃんけんのルールにふれ、中学部では国際条約へと幅を広げます。「さまざまなテーマを奥深く学び、生きる力を身につけてほしい」という市教育委員会の願いがあります。

小中一貫教育には、中学校に上がるときに環境の変化にとまどう「中1ギャップ」をなくすねらいもあります。池島学園でも国語と算数、社会で「教科担任制」を取り入れ、専門に教える先生がいます。この3教科の定期テストを5、6年生が学期末に受けたり、6年生は年間20日、中学部で過ごしたりします。寺脇啓介校長は「新しい世界でギャップを作らないよう、子どもたちを育てていきたい」と話します。

【義務教育学校】
「中1ギャップ」解消などのため、学校教育法の改正で2016年にできた学校の種類。9年間の一貫教育を行い、校長は1人。文部科学省によると、18年度時点で33都道府県に82校(公立80校、国立2校)。9年間を「6・3」制だけでなく「4・3・2」などに変えられ、教科内容の入れ替えや、独自教科を設けることができる。

【朝日小学生新聞2019年8月9日 掲載】