論理的に考えるには 相手が納得するように説明

「ロジカルシンキング」――。論理的(ロジカル)な思考(シンキング)という意味で、学習指導要領(文部科学省が定める大まかな教育内容の基準)などでも、こうした力を高めることが求められています。どのようにのばしたらいいのか、論理的な思考力を養う塾「ロジム」の苅野進さんに教えてもらいました。(編集委員・沢辺雅俊)

東京大学卒業後、経営コンサルティング会社を経て、学習塾「ロジム」を設立。代表を務める。著書に『10歳でもわかる問題解決の授業』など

理解をうながす理由づけを

――なぜ、いま求められているのですか。

これからの時代は「いわれたことをする」「みんなが知っているものをつくる」から「自分なりの答えを出す」「まだ世の中にないものをつくる」ことが求められます。たとえば仕事で新しい車をつくる場合、絶対的に正しい答えはありません。売れるかどうかがわからないリスクや利点を理解したうえで協力してもらうには「納得感」が重要。そのために情報を整理し、分析し、伝える――。聞いた人が理解しやすい理由づけや話し方が必要です。

ロジカルの反対語は「感情的」「直感的」「個人的」。何かを決めるときに「私は何となくこれがいい」では、だれも納得しません。

――小学生に身近な例で教えてください。

「お母さんに○○を買ってもらおう」という場合を考えてみましょう。ただ「ほしい」では多分だめ。お母さんの立場になってチェックします。そうすると、お母さんが買いたくなる理由と、買ってほしい理由がちがうことに気づき、「買ったら勉強するようになる」「△△くんのうちと同じものなら買う」などと思いつくかもしれません。相手にとっての利点を考えることが欠かせません。

――どのような手順で考えていくべきですか。


「サッカーで勝ちたい」という例で考えてみます。

①まず、問題を設定して要素を分割。「もれ」がないように洗い出します。

②次に、それぞれの対策を考えます。本当に効果的か、つながりが大事です。

③そのうえで時間がかぎられているなかで、どれを優先するかを選びます。「パスの練習が必要」と判断したら、それを裏づけるデータや例も集めます。

相手を思いやる姿勢が重要

――ポイントは?

大事なのは「思いやり」。相手を想像することです。ロジカルシンキングは手段であり、作法にしたがうことが目的ではありません。それを誤解すると「論理的に伝えているのに理解できない相手がおかしい」と本末転倒になります。

――力をのばすこつは?

スキル(技術)としてはサッカーの例のように問題を分割すると、解決策もわかりやすくなります。

心構えとしては、自分に対して意地悪になる。「自分は□□したい」と思っても「でも、相手はしたくないかも」と考えてみると相手の理解を得られるような工夫が身につきます。

――保護者へのアドバイスを教えてください。

子どもの意見に対して「なぜ」と聞くようにすると、考えるくせがつきます。また、子どもからの返答に、つい○×をつけたくなりますが、それはさけたほうがいいですね。

自分の考えを相手が納得するように説明できる力がつくと、夢をかなえられます。人を巻きこむ力があると夢は実現できるのです。

【朝日小学生新聞2019年12月27日 掲載】