理科の力を高める 身近にある科学に関心を

小学生のみなさんが理科の力をのばすには、どのように学ぶのがいいのでしょうか。中学入試の理科の出題にくわしい小川眞士さん(小川理科研究所)に教えてもらいました。理科との向き合いかたについてもアドバイスします。(編集委員・沢辺雅俊)

東京都内の区立中で理科を教えた後、中学受験の進学塾で30年近く理科を教える。東京・大塚で「小川理科研究所」を主宰。

日常の体験を題材にしよう

――最近の中学入試の出題に、どのような印象をもっていますか。

ここ4、5年でいえば、新しい学習指導要領を見すえて「仮説を立て、実験し、確かめる」というプロセス(過程)を重視した問題がめだちます。図や表をもとに考えさせ、理科的な思考や処理を問うものです。

教科書に出ている身近な動植物や実験について、受験生がどれだけ理解しているか「質」をみる出題もあります。今春の入試でいえば、8種の鳥のシルエットからツバメとカラスを選ばせ、それぞれの行動を選択式で答えさせた筑波大学附属駒場中の出題や、砂糖が水に溶けるようすを取り上げた桜蔭中(ともに東京)の問題があてはまります。

――力をのばすには、小学生の時期をどのように過ごすといいのでしょうか。

大事なのは①理科ぎらいにならない、②日常の体験を大切にする、③時事問題(ニュース)に関心をもつ――。この三つです。

まずは①について。中学受験をめざす塾の場合、4年生(3年生の2月)から通い始めるのが一般的。最初は覚えることが中心です。「ゲーム感覚で覚える」といった感じでかまわないので、この時期をうまくすりぬけてほしい。

②では、とにかく何でもやってみる。星をみるのでも、虫を飼うのでも、台所で湯をわかすのでもいい。たとえば「寒い日に鉄棒にふれたら冷たかった」という体験が「熱の伝導」の理解に結びつきます。「どうしてこうなるのかな」と疑問がわいたら、自分で調べたり実験したりといったことができるといいですね。

③については、先日の台風が一例です。天気予報で台風が通過する際の風向きの変化について解説していましたが、そうした説明も理科への関心を高めるのに役立ちます。

現象がおこる理由を理解する

――逆に、あまりよくない取り組みは?

「そういうもんでしょ」と結論だけ覚えてしまうのはどこにもつながっていかない。「炭酸飲料を飲んだとき、なぜおいしいのか」「のどで炭酸水があたためられ、あわが出てくるから」とか「親潮に魚が豊富なのはなぜか」「冷たいので酸素が多くふくまれ、プランクトンも多いから」といった具合に、現象の理解につながるのが理科の学びです。

――家庭ではどのようなことができるでしょう?

「手伝い」をおすすめします。料理で調味料を使うときには順番があり、その順番にも理由があります。「料理は科学」です。小学生のみなさんは自分で確かめてください。洗濯もいいですね。「どう干すと、乾きやすいか」という疑問は入試でも出題されます。

中学受験をめざす6年生は塾からの帰り道に空をみてみましょう。冬にかけて「冬の大三角」がよくみえるようになります。月の位置が変化するようすもわかりやすい。体験を大事にして理科的な視点や思考力を身につけてください。

【朝日小学生新聞2019年11月22日 掲載】