要約する力を高める 文のつくりをまず理解

文章の大事な部分を適切にまとめる要約は、国語の力の「土台」ともいえます。でも「どうやればいいのか、わからない」という小学生がいるかもしれません。朝日小学生新聞で「楽読み 楽解き 国語の時間」(原則として隔週の月曜掲載)を連載している南雲ゆりかさんにこつを教えてもらいました。「天声こども語」を例に紹介します。(編集委員・沢辺雅俊)

なぐも・ゆりか
1元大手進学塾の国語科専任教師で、10年間「桜蔭特別コース」を指導。現在は「南雲国語教室」を主宰している。

主語・述語とらえて一文に

要約で身につく力は大きく二つあります。①はやく正確に読める、②わかりやすい文章を書ける、です。中学入試では、筆者のいいたいことをまとめる形の問題がよく出ます。

練習の第1段階は、一つの文を要約してみること。「夏休みに私は家族でハワイに行った」という文で考えてみましょう。

最初に「述語」(何だ、どうする、どんなだ)、次に「主語」(何が、だれが)を見つけます。この場合、主語と述語だけでは「私は行った」となり、意味が伝わりません。そんなときは場所などの要素も入れます。「私はハワイに行った」となりますね。

一文の要約ができるようになったら、練習の第2段階。文や段落の数を増やし、要約する範囲を文章全体に広げていきます。大事な部分を見つけて盛りこみ、けずっても意味が通じるところは消すのが原則。もちろん要約する文字数に応じて内容はかわります。

要約の作業を「列車」にたとえたものが、上のイラストです。50字以内の要約は「特急」のような感じ。「始発駅」(話題)に「終着駅」(結論)を加えれば、できあがりです。100字以内は「急行」です。「始発駅」(話題)と「終着駅」(結論)に「大きい駅」(複数段落の要点)を加えます。200字以内は「準急」として必要に応じて「小さい駅」(一段落の要点)も盛りこみます。

天声こども語を110字に要約!
 何度も出てくる言葉は何かな

朝小のコラム「天声こども語」(水曜・日曜に掲載)を題材にして110字の要約に挑戦してみましょう。

まず「どこ行きの列車か」(話題は何か)を考えます。そのとき、何度も出てくる言葉がヒントになります。今回なら「プラスチック(ごみ)」ですね。

次に、それが「結局、何だ」ということをおさえます。「海を汚している」「人間の健康にも影響する」ということですね。さらに「どうすればいいか」を考えると、「決められた場所以外には捨てない」と読み取れるでしょう。これらを結びつけていきます。

精読で実力アップ

もっと実力をつけたい人におすすめなのは、一文ずつ精読していく方法です。たとえば1段落目の「海」という語句は後で何度も出てくるわけではないので話題とはいえません。いわば「駅へ歩いている」部分です。

2段落目以降は番号をふってみます。①~③のうち、省略できるのは細かい説明にあたる②です。①の要点は「プラスチックごみが海を汚している」で、③の要点は「この粒が人間の健康にも影響を及ぼすと心配されている」。この場合、指示語をふくむ「この粒」は「海に流れ込んだプラスチックごみの粒」なので省略して、①とつなげられます。「プラスチックごみが海を汚しており、人間の健康にも影響を及ぼすと心配される」となります。

3段落目は、④は外国の例なので字数が短いときは省略可。長い場合も「フランス、イギリス、台湾などでは」を「国によっては」などといいかえます。「禁止するといった策をとっています」は「禁止している」と短くできますね。

4段落目は、⑦は具体例なのでカットできます。⑥は短い字数なら「プラスチック製品」、長ければ「わたしたちのまわりにあふれるプラスチック製品」などとなります。字数に応じて長い言葉をどの程度生かすか、いいかえるか考えます。

ポイントがずれていたり、文章としておかしかったりする場合、保護者もわかるはず。誤字脱字がある、100字の要約を一文で書いている、順接でないのに「ので」を使う、などがチェックポイントです。

【南雲さんの要約例】

プラスチックごみが海を汚し、人間の健康にも影響を及ぼすようになると心配されている。一部のプラスチック製品を禁止する策をとる国もある。プラスチック製品を決められた場所以外に捨てると地球が危なくなることを覚えておくべきだ。(109字)

【朝日小学生新聞2018年8月31日 掲載】