時事問題にも目配り ニュースを切り口に出題

来春の中学入試にむけて、本番を意識した勉強に取りかかる時期になりました。社会や理科で出題される時事問題対策もその一つです。入試で取り上げられそうなテーマを例に挙げながら、おさえておきたいポイントを解説します。(編集委員・大島淳一)

新元号「令和」から「天皇」や「平成史」

必ずおさえておきたいのが新しい元号の「令和」です。248番目の元号で「令」の文字が使われるのは初めて、「和」の文字は20回目。令和は万葉集の文字がもとになっています。

ポイントの一つが万葉集です。日本に現存する最古の歌集で、8世紀の終わりごろまでに編さんされました。天皇だけでなく、農民や九州地方の警護にあたった無名の防人ら、さまざまな階層の人たちがよんだ歌が4500首あまり収められています。

元号が用いられる歴史上の出来事もチェックします。「大化」なら、中大兄皇子と中臣鎌足らが天皇中心の中央集権国家の実現をめざし、蘇我氏をたおしたこと(645年)にはじまる一連の政治改革「大化の改新」といった具合。「大宝」なら、唐(中国)の制度を参考にして法によって国を治めるための「大宝律令」(701年)。ほかにもたくさんありますね。

日本国憲法における天皇の規定も確認。第1条で「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と定め、その地位は主権をもつ「国民の総意に基づく」。こうした考えを「象徴天皇」といい、天皇は政治にかかわる権限をもちません。天皇の国事行為は「内閣の助言と承認が必要で、内閣がその責任を負う」と規定されています。

経済の変化(消費税率の推移など)や自然災害(阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災など)のように、あるテーマに沿って「平成」の歩みを出題する学校もぐんと増えそう。上の図を参考にしてみてください。

夏にあった参議院議員選挙も重要。今回から定数がかわったことから下のような図を示し、定数や任期などについて適切な数字を問う出題が考えられます。

もう一つのポイントが投票率。国政選挙の場合、一般的に年齢が高いと投票率が上がる(低いと下がる)傾向がみられます。7月の参院選の場合、18、19歳の投票率(抽出調査、速報値)は31・33%で、全体の48・80%を大きく下回りました。こうした状況から生じる「シルバー民主主義」という現象をおさえておきます。当選したい候補者が投票率の高い高齢者を念頭に置いた政策を優先して打ち出すなど、高齢者が政治に影響をおよぼすことで、若い世代を視野に入れた政策が軽視される心配があります。

理科は「気象」や「はやぶさ2」

「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)の世界文化遺産への登録もおぼえておきます。貴重な遺跡や文化財、自然環境を人類共通の宝として守ろうとするのが世界遺産。建物や文化的景観などを対象とする「文化遺産」、生態系や地形などを対象とする「自然遺産」、自然遺産と文化遺産の両方の価値がある「複合遺産」の三つがあります。

百舌鳥・古市古墳群は4世紀後半から5世紀後半につくられた約50基の古墳から構成され、国内で最大規模の前方後円墳「大山古墳(大仙古墳、伝仁徳天皇陵)」もふくまれます。約30基は歴代の天皇や皇后、皇族を埋葬したとされる陵墓などで、一般の人の立ち入りは原則として禁じられています。学術的な発掘調査も制限され、葬られた人物像をめぐっていろいろな説がある古墳がめだちます。大山古墳も、だれのものなのか明らかになっていないのが実情です。

理科の出題では「台風10号」などを切り口に、気象の分野を出題する学校がありそうです。おさえておきたい用語が「特別警報」。大雨や暴風、高潮、大雪などで「数十年に一度」の規模になると予想され、気象庁が「ただちに命を守る行動が必要」と判断した場合に出る警報のことです。

小惑星「リュウグウ」の地表に人工的なクレーターをつくることに成功するなど、探査機「はやぶさ2」の活躍ぶりも取り上げられる可能性があります。探査機と小惑星の名称について正しい組み合わせが問われるかもしれません。

朝小では秋から2019年の主な出来事をふり返る連載がスタート。時事問題対策に活用してください。

【朝日小学生新聞2019年8月30日 掲載】