存在感が高まる公立中高一貫校

学費の安さや独自のカリキュラム、質の高い授業などが期待され、人気を集める「公立中高一貫校」。大学受験で成果を出し、存在感を示すところも少なくありません。おもな公立中高一貫校について、2019年度の動向や、大学受験の結果をみてみました。「これから」の動きのいくつかも紹介します。(山田泉、編集委員・大島淳一)

新規開校6~9倍の人気ぶり

この春に開校した公立中高一貫校のいくつかについて、適性検査を受けた人数や倍率などをみてみます。

埼玉県のさいたま市立大宮国際中等教育学校は男子、女子ともに80人程度(計160人程度)を募集しました。男子は437人が受けて80人が合格(5・5倍)、女子は559人が受けて80人が合格(7・0倍)、全体では996人が受け、6・2倍というハードルの高さでした。

全国ではじめての公設民営(設置するのは大阪市、運営するのは学校法人「大阪YMCA」)の大阪市立水都国際中学は80人を募集。計477人が受け、適性検査や面接の評価点を合計し、総合点の高い順に80人が合格しました(6・0倍)。

全寮制の広島県立広島叡智学園中学は40人を募集(原則として男子、女子ともに20人)。計372人が受け、9・3倍という「せまき門」でした。

公立中高一貫校の倍率は初年度がぐんと高くなり、つぎの年度からやや下がりはじめ、次第に落ちつくという傾向を示しがちです。ただし、2年目以降にハードルがやや低くなるとはいっても、私立や国立の中学よりも倍率が高めの公立中高一貫校がめだちます。

この春の結果をみてみると、さいたま市立浦和中学が8・4倍、千葉県立千葉中学が8・3倍、神奈川県立相模原中等教育学校が7・7倍といった具合。東京都立の10校(小石川中等教育学校、白鷗高校附属中学、両国高校附属中学、桜修館中等教育学校、富士高校附属中学、大泉高校附属中学、南多摩中等教育学校、立川国際中等教育学校、武蔵高校附属中学、三鷹中等教育学校)の一般枠の倍率を平均すると5・7倍、京都市立西京高校附属中学が4・6倍などでした。

大学受験で実績

学受験の合格実績で結果を出していることも、公立中高一貫校が注目を集める要因の一つ。たとえば1期生が今春の大学入試にのぞんだ茨城県立古河中等教育学校は、東京大学と京都大学にそれぞれ1人が合格。早稲田大学や慶応大学、上智大学などの私立大学でも合格者が出ました。

「国際理解」「高いコミュニケーション能力の習得」など、それぞれの公立中高一貫校は特色のある取り組みを実践。こうした学びを深めることで大学の合格実績も高まるようです。古河中等教育学校の場合、中学にあたる前期課程では数学と英語は週5時間相当の授業があり、高校での内容も一部を先取り。高校にあたる後期課程では難関大学や医学部の受験に対応する授業もとり入れています。

茨城に10校設置/都立は高校募集を停止

2000~10年ごろにかけて、公立中高一貫校は各地で開校が相つぎました。しばらく「ラッシュ」はみられませんでしたが、2020~22年度にかけて茨城県では10校が設置される予定。県立土浦第一高校や水戸第一高校など全国的に知られる高校も「併設型(中学と高校の一貫教育を実施し、高校からも生徒を募集するタイプ)」に再編される計画です。

一方、東京都立の併設型中高一貫校では高校段階での募集を停止することに。「6年間を通した体系的な教育が実践しにくい」「高校入試での倍率が1倍以下になる併設型高校がある」。こうした事情から2021~22年度にかけて、高校段階での募集を停止して中学段階での募集規模を拡大します。

対象は富士高校・附属中学、武蔵高校・附属中学、両国高校・附属中学、大泉高校・附属中学。白鷗高校・附属中学については施設を整備する状況をふまえて21年度以降に停止する考えです。

【朝日小学生新聞2019年5月31日 掲載】