2021年度の中学入試 コロナで手堅くのぞむ傾向

新型コロナウイルスの感染拡大と向き合うなかで実施された2021年度の中学入試。今春はどのような動きがみられたのでしょうか。首都圏と関西地区のおもな動向について、それぞれの専門家に話を聞きました。(編集委員・大島淳一、沢辺雅俊)

コロナ対応も評価の一つに/中身をみて選ぶのが重要

進学塾の栄光ゼミナールによると、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)で私立中・国立中を受験したのは約5万1400人。公立中高一貫校の適性検査に臨んだ6年生を加えると6万7300人で、2020年度とほぼ同じ水準でした(推計速報値)。

新型コロナウイルスの影響を読み取れる要素がエリアごとの受験者数です。首都圏では1月10日から埼玉県内の中学で一般入試がはじまり、1月20日から千葉県、2月1日から東京都と神奈川県とつづきます。各県にある中学の受験者数は埼玉県が約3万9200人、千葉県が約2万3100人でいずれも20年度を下回り、とくに千葉は約8%のダウン。栄光ゼミナールの藤田利通さん(指導統括室)は「千葉の中学を受けて感染したら東京や神奈川の受験までに回復できない。そんな心理がはたらいたのでは」と考えます。

東京都内の中学に注目すると「御三家」といわれる男子校の麻布中、開成中、武蔵中、女子校の桜蔭中、女子学院中、雙葉中では、桜蔭中をのぞく各校で20年度よりも受験者数が少なくなりました。一方、この6校につづく駒場東邦中や海城中、鷗友学園女子中などは人気を集めました。新型コロナの影響で学校や塾が休校(休講)するなど「合格するための勉強が十分ではなかったのではないかと不安をおぼえ、手堅い選択をした家庭もあったのかも」と藤田さん。

聖徳大学附属女子中を共学化する光英VERITAS中(千葉)、村田女子高校が校名をかえて共学化したうえで中学での募集を再開した広尾学園小石川中(東京)をはじめ、新たなスタートを切る学校にも注目が集まりました。なかでも公立中高一貫校の川口市立高校附属中(埼玉)の受検者は男子が277人、女子が286人という人気ぶり。それぞれ40人が受かり、男子が6・93倍、女子が7・15倍でした。

関西地区(京都、大阪、滋賀、兵庫、奈良、和歌山の2府4県)の私立中の受験者数(初日の午前入試)は1万7100人弱。このエリアの6年生の9・64%にあたり、受験率は20年度(9・64%)と横ばいです。一人あたりの平均出願数は3・59校から3・63校になり、日能研関西の森永直樹さんは「熱がこもった入試になった」といいます。

受験者数が大きくのびたのが須磨学園中と夙川中。ともに兵庫県神戸市の学校で、夙川中は須磨学園中の姉妹校です。いち早くオンライン授業を導入するなど新型コロナ対応も評価を高めたようです。

ここ数年は大学の付属中学が人気でしたが、その動きは提携する中学にも。今春は立命館大学に進むコースがある初芝立命館中(大阪)や平安女学院中(京都)の人気がめだちました。

今春の特徴は、やはり新型コロナへの対応。関西学院中学部(兵庫)が一般入試(A日程)の面接を見送るなど各校が「密」をさける対策を取り入れました。森永さんは「新型コロナの感染流行がつづけば、来春の受験校選びも変化するかもしれない。ただし、コロナ対応だけにとらわれず、学校の中身をみて選ぶのが重要」と話しています。

【朝日小学生新聞2021年2月19日 掲載】