From灘  400年前はわり算も九九で

今から約400年前の日本では、みなさんと同じくらいの子どもたちがどのように算数を勉強していたか、ご存じですか?

1627年、数学者の吉田光由は『塵劫記』という算数の入門書を出版しました。それまでも算数の入門書はありましたが、塵劫記は「さし絵」をたくさん使うことで、見ても楽しい入門書でした。そのおかげか大ベストセラーになり、日本中の子どもや大人が当時の算数(和算)を勉強するようになったのです。

塵劫記には、九九がのっています。おもしろいことに、その続きには、わり算の九九ものっているのです。昔の人はそろばんでわり算がしやすいように、わり算の九九も覚えていました。例えば、このようなものです。2÷2は「二進(にちんの)一十(いっしん)」、2÷3は「三二六十二(さんにろくじゅうのに)」……と言いながらそろばんをはじいていましたが、珠の操作を言葉にしているので数字の意味はわかりにくいかもしれません。

ちなみに「行きづまってどうしようもないさま」を「にっちもさっちもいかない」と言いますが、これは「二進(にっち)も三(さっ)進(ち)もいかない」、すなわち「2でも3でも割れない」から来ています。

当時は義務教育ではありません。受験もありません。別に勉強をしなくてもよかったのです。しかし、生活に必要な読み書きや算数を子どもも大人も寺子屋で勉強しました。義務教育でもなく、受験もない中で、子どもたちは自由にのびのびと学んでいたのかもしれませんね。

【朝日小学生新聞2020年7月10日 掲載】