From灘  国語と道徳の関係とは

先日、大学や他校の中高の先生方と『未来のための探究的道徳』(明治図書出版)という本を出しました。「国語の先生がなぜ道徳?」と思われるかもしれません。でも国語と道徳のちがいをはっきり答えられる人は、そう多くないかもしれません。

授業で物語文を読んだとき、「この人物の行いはよいと思うか、悪いと思うか」と聞かれ、賛成派と反対派で話し合ったことはありませんか。身に覚えがある人は、それはどの授業であったか思い出してみてください。また、国語の物語文と道徳の物語文を読み比べてもおもしろいかもしれません。

人間の行動は、気持ちだけでなく、知覚、記憶、理性などに左右されます。理性とは「物事の筋道に従って判断・行動する力」ですが、その筋道には「道徳」がしばしばふくまれています。よって、国語の時間に登場人物の行動の理由を考えることは、その人の道徳心に思いをはせることにほかなりません。この意味では、国語と道徳は必然的に重なり合うものといえます。

重要なことは、文章を通してふれた他人の道徳心を「この人はこの人」で終わらせるか、自分事として引き寄せて考えるかです。道徳は社会生活とつながっている、ひとつの生きた知識です。周囲の人たちの考えにふれながら、自分の心を形作っていく。国語の入試問題で「あなたはどう思うか」という問いはあまり出されませんが、国語の授業で得た知識も生きたものとして社会生活で活用していってほしいと願います。

【朝日小学生新聞2019年9月27日 掲載】