From灘 深い学びは「ぼーっと」から

授業中にぼーっとしていて先生に注意されたことはありませんか? 道を歩いているときにぼーっとしていると、交通事故にあう可能性もあるでしょう。このように、日常生活ではさまざまなことに注意を向ける必要があり、ぼーっとしてはいられません。ところが、算数や数学ではこの「ぼーっとする」が意外にも重要です。なぜでしょうか?

よくわからないことがあり、そのもやもやをかかえてぼーっとしているとき、外からは何も考えていないように見えます。しかし、無意識の中でそのもやもやを解消するべく、脳が常に働いています。近年の脳科学の研究がそのことを裏付けています。その働きの結果、ぼーっとしていて、何かのきっかけで「あっ、そうか!」と、今までわからなかったことがすとんとわかることがしばしばあります。

算数や数学というと、計算の方法を身につけたり、どの公式を使うか判断してあてはめたりして、早く答えを出すような学びを思いうかべるかもしれません。しかし、それでは本当にわかったことになりません。わからないことをとことん考えぬき、一息入れてぼーっとする中ですっと腑に落ちて納得する。このような経験を重ねて、算数や数学が少しわかったといえるようになります。

表面をなぞってわかったことにしてしまうと、こうした深い理解は得られません。わからないと認め、本当にわかろうとするからこそ、「ぼーっとする」が無意識で活躍するのです。

【朝日小学生新聞2019年2月15日 掲載】