たくさんを意味する「八」

日本には数字の8(八)のつく言葉がたくさんあります。たとえば、八百屋、八方美人、八重桜、うそ八百などなど。実は「八」には「漠然と数が多いこと」という意味がそもそもふくまれているのです。

同じように歴史の授業でも「八」のつく言葉がたびたび出てきます。古いものだと、日本の神話の中に登場する「八百万の神」や「八岐の大蛇」のような例があげられます。八百万といっていますが、本当に数えられたわけではなく、たくさんの神々をまつってきた日本ならではの大まかな表現といえます。皇室に伝わる三種の神器にも「八咫鏡」などがあり、八に対するこだわりのようなものが見てとれます。

江戸時代に「三都」とよばれた都市にも「八」を用いた呼称がありました。それが、江戸(東京)の「八百八町」、浪華(大阪)の「八百八橋」、京都の「八百八寺」です。これらも本当に808か所だったわけではなく、それほどの勢いで数が増えていったことを表現しています。

ただし、江戸の町と京都の寺は808よりもさらに多くあったのに対し、大阪の橋は200ほどしかなかったようです。これは約350あった江戸よりも少ない。しかし、江戸の橋は半分以上が幕府によってかけられたのに対し、大阪はほとんどが富裕な町人の財力でかけられたようです。自腹を切って橋をかけていった町人たちの心意気が「八百八橋」につながったのです。

【朝日小学生新聞2018年12月7日 掲載】