布を裁つ知恵が数学に

図1は、たて16センチ、横25センチの長方形の布です。これを二つに分けて、くっつけて、一つの正方形に直すには、どのように切ればよいですか。ヒントはたてと横の長さの比です(答えは図2)。

色々な形を切り合わせて別の形に変える方法を、和算では「裁ち合わせ」といいます。長い布を裁ち合わせて正方形に直すことから始まった庶民の知恵です。江戸時代初期の1657年に、藤岡茂元が刊行した『算元記』に初めて登場し、庶民の間でも多くの問題が作られました。1枚の紙を何回か折ってから、はさみで1度切るだけで別の図形をぬき出す「一刀切り」や、紙から紋(図形)を切りぬく「紋切り遊び」も裁ち合わせの一つと考えていいでしょう。

これらの庶民の知恵は、江戸時代末期の1855年に小野以正の『啓迪算法指南』で「三平方の定理」(「ピタゴラスの定理」とも呼ばれ、中学校で習います)と同様のものとして証明されました。数え上げる「算数」から、答えに至るまでの過程も大事にする「数学」へ活用されていくことになります。

図3は、1辺の長さが同じ正方形8個の辺をぴったりとくっつけて作った六角形です。この図形を三つに切り分けてくっつけ直し、一つの正方形を作るには、どのように切り分ければよいですか。

これは今年の西大和学園中の算数の入試問題です。答えは西大和学園のウェブサイトで7月ごろに公開します。チャレンジしてみてください。

【朝日小学生新聞2018年5月25日 掲載】