東大の古典問題文は深い

日本の最難関の大学といったら、東京大学と多くの人が答えるでしょう。今回は東京大学の国語の入試問題について感じたことを書きます。

東京大学が古文や漢文などの古典で取り上げる問題文には、毎年強いメッセージがこめられていると感じます。例えば、動物を殺すことが禁じられた時代に、僧侶が病弱な母親のために魚をとる話がありました。僧侶は親孝行者だとゆるされます。自分の身を守るよりも親を大切にというメッセージが読み取れます。

一番よく取り上げられる題材は、主君に対して臣下がいましめる、つまり部下が上司を注意するという話です。主君のまちがいをいましめて正しい道に導くのがすぐれた臣下であり、臣下の意見に耳をかたむけられる主君こそがすばらしい君主である、といわれています。

ここで考えてほしいのが、数ある作品の中でなぜこの題材を東京大学は多く出題するのかです。

東京大学の歴史をひも解くと、江戸幕府のエリート養成所、つまり官僚を育てる学校が始まりです。そんな東京大学が、主君にとって耳ざわりなことでも臣下は注意すべきだ、という話をたびたび入試に取り上げているのです。現在の社会状況をふまえると大変考えさせられます。

主君のいうことに、ただただ従うだけの臣下は正しい姿ではない。また、臣下のいうことに耳をかたむけない主君も正しい姿とはいえないのです。そんなことを読み取るのは、少し考えすぎでしょうか。

【朝日小学生新聞2018年4月27日 掲載】