From灘 運命の一冊との出会い

来月から新しい学年が始まります。灘中学校では、入学予定者への説明会を2月中旬に行いました。

数学科・理科からは、入学前に読んでおくとよいですよ、と思いをこめて本を数冊すすめました。問題を解いて正解を出すのとはちがう、学問としての数学・科学をちらっと見たことで好奇心をふくらませた生徒たちと、授業で顔合わせしたいです。

以前、中学の入学予定者に数学の本を同じようにすすめました。そのときの本を今回もすすめようと考えましたが、結局は小説『博士の愛した数式』(小川洋子著、新潮文庫)や『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』(ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー著、晶文社)といった、とても有名な図書だけをすすめることにしました。

10年ほど前から、数学をわかりやすく解説する本が次々に出版されました。そのいくつかを以前にすすめましたが、現在は都市部の大型書店やネット大手の書店でしか新品を買うことができないことがわかりました。電子書籍でも買えますが、紙の本でいつでも手元に置いて読めるように、新品を手軽に買えるものをすすめた方がよいと考えました。そのため、新品を入手しづらい本は今回の推薦リストから外しました。

目の前で売られている本がしばらくたって書店から姿を消すことは、残念ながらよくあることです。財布に余裕があるなら、書店で出会ったすてきな本を「運命の出会い」と思ってぜひ買ってみてください。

【朝日小学生新聞2018年3月11日 掲載】