From灘 「物理研究 個人でも大勢でも」

今年のノーベル物理学賞は、「重力波」の世界初の観測に貢献した、アメリカのワイスさん、バリッシュさん、ソーンさんにあたえられます。重力波がどのようなものかは将来くわしく勉強することにして、ここでは、別の話題を紹介します。

ノーベル賞は基本的に個人にあたえられます(平和賞だけは団体もふくまれます)。共同での研究や関連した内容で同時に何人かにあたえる場合にも、3人までという決まりがあります。3年前、赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんが「青色発光ダイオード」の発明で受賞しました。一人ひとりが(赤崎さんと天野さんは共同研究)実験をくり返した成果に対しての、3人同時受賞です。

これに対して、宇宙や素粒子のことを調べる実験は1人ではできません。今回の観測でも、長さ4キロメートルの真空のパイプを2本組み合わせ、その中でレーザー光を何往復もさせる、巨大で精密な装置を2台同時に使っています。18か国、約1200人もの科学者がそれぞれの専門分野で協力しながらの実験です。基本原理を考え、プロジェクトを立ち上げた3人の受賞は当然ですが、栄誉を受けるべき人がほかにもいるなか、人数制限のために3人が代表に選ばれたといってよいと思います。

このように、一口に物理といっても、個人でできる実験や理論の研究から、多くの人の共同作業が必要な研究まで幅広いのです。みなさんが将来物理の研究をするとしたら、どちらがよいですか。

【朝日小学生新聞2017年10月15日 掲載】