From灘 「立方体の切り口は?」

私が担当している中学2年の数学では、2学期から空間図形を基礎から応用まで体系的に学習します。
 空間図形を教えるときにいつも思い出すのは、以前教えていた高校生の発言です。その生徒は神奈川県の難関中学校の入試を受けて合格していました。中学入試の算数では、立方体をはじめとするいろいろな立体を平面で切り、切り口や分割された立体について問う問題がよく出題されます。そのため、空間図形を深く理解することが求められますが、その生徒は空間図形がとても苦手だというのです。

 そこで、試しに「立方体を平面で切った切り口はどうなるか」と質問すると、すらすら答えました。どうやって勉強したのか聞くと、「パターンを全部覚えました」とのこと。その発言を聞いて私はショックを受けました。きっとその生徒は、切り口に八角形や正五角形が現れないことに気づいたこともなければ、なぜかと疑問を持って調べたこともないのでしょう。

 立方体の切り口に八角形と正五角形が現れない理由は、こう説明できます。立方体には六つの面があり、一つ一つの面を平面で切ると直線が現れます。そのため切り口は最大で6本の直線で囲まれる多角形になり、八角形になることはありません。次に、立方体の平行な二つの面の切り口である直線どうしは平行です。そのため、立方体の切り口が五角形であるとき、どれか2辺は平行になります。どの2辺も平行でない正五角形になることはありません。

【朝日小学生新聞2017年9月17日 掲載】