From西大和 「江戸時代の”数学ガール”」

江戸時代の「数学ガール」

1965年に小説として連載が始まり、映画、ドラマ、アニメなどにもなった「時をかける少女」という作品があります。算数・数学の世界にも、250年近く時代をこえて愛され続けている少女がいます。それは1775(安永4)年に産声をあげた和算書「算法少女」です。

著者の千葉桃三が「娘が書いた」という形でいくつかの和算の問題をまとめたもので、円周率の求め方の算術や図形問題などが出題され、和算書の中で唯一「少女」を冠しています。現代でいえば「数学ガール」や「女子生徒が算数の問題をつくってみた!」という感じでしょうか。

そして200年近い時をこえた1973年、和算書の内容をヒントにした児童書『算法少女』が出版されます。主人公の少女の名前は「あき」。江戸時代、父から算法の手ほどきを受けていて算法の勉強に夢中になった町娘です。彼女の夢は「身分に関係なく読み書き・そろばんができる」ようになり、みんなに算法の魅力を感じてもらうこと。その夢に向かって一歩一歩進むお話です。いつの時代も学問に夢中になることに理由はないのかもしれませんね。

その後、2009年には江戸時代の本を現代語訳した『和算書「算法少女」を読む』が出版され、12年にまんがの単行本化、16年にアニメ映画化されました。今月、関西で初めてアニメ映画「算法少女」が上映されます。もしかしたら「あき」ですら気がつかなかった解法を、あなたが見つけることができるかもしれません。

【朝日小学生新聞2017年6月18日 掲載】