From灘 「集中力」と「分散注意力」

「集中力」と「分散注意力」

灘校の生徒の特徴としてよくいわれるのが、集中力の高さです。数学の定期考査(試験)では、多くの生徒が開始直後からすべて解き終わるまで休む間もなくずっと手を動かし続けています。数学に限らず、読書など特定の物事に強い関心を持ち、いったん取り組み始めると我を忘れて没頭する、という生徒はめずらしくありません。

算数や数学では、ねばり強く計算や推論を進めていく必要があり、集中力が高い人はその作業に向いているのでしょう。算数や数学が難しい入学試験を課すことで、そのような集中力が高い生徒が多く集まっているとみられています。

ところで、集中力が高いだけではよくありません。道を歩きながら携帯端末のゲームに夢中になると交通事故にあいやすい、という例から納得できるでしょう。(歩行中のゲームはもちろんダメですが)自分を取り巻く環境からさまざまな情報を受け取って整理する能力は生きていく上で欠かせません。「集中」の反対の意味である「分散」を使って、この能力は分散注意力と呼ばれます。

算数や数学でも分散注意力が大いに必要です。まちがいが少ない人は、計算や推論を一つ進めるごとに立ち止まり、計算や推論が正しいかどうか細かく調べたり、初めからざっと見通して不自然なところはないかを探したりしています。最初からまちがいが少ないのでなく、まちがいを発見して修正する能力が優れているのです。不注意によるまちがいで困っている人は、「まちがいが少ない人」の方法をまねてみてください。

【朝日小学生新聞2016年10月9日 掲載】