From灘 「アキレスは追いつけるのか」

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アキレスは追いつけるのか

20160522_f02古代ギリシャの哲学者ゼノンが考えた「アキレスと亀」の話を知っていますか。アキレスはギリシャ神話に出てくる足の速い英雄です。

足のおそい亀が、アキレスの前を歩いていたとします。かりに、亀がアキレスの前方100mにいて、亀とアキレスの速さの比を1:2とします。

アキレスが先ほど亀のいた100mのところまで進むと、亀はその半分の50m先を歩いています。アキレスがさらに50m進んで、これで追いついたと思うと、亀は25m先を歩いています。アキレスがさらに25m進んでも亀は12.5m先にいる……というように、いくらアキレスが亀に追いつこうとしても必ず亀はアキレスの前にいるので永遠にアキレスは亀に追いつけない、という話です。

このような話をパラドックスといい、一見正しい理屈のようでも、結論が明らかにまちがっています。ふつうに計算して2分で追いつくといえばそれまでですが、どこがまちがいなのかを考えることが勉強になります。

アキレスの速さを分速100mとすれば、追いつくのにかかる時間は(100/100+50/100+25/100+……)=(1+1/2+1/4+……)分です。1回足し算をするごとに和は必ず増えるので、無限にくり返すと答えは無限に大きくなるはずだと大昔の人は考えました。しかし、この無限回の足し算の答えは無限に大きくはならず、ちゃんと計算すると2分になります。

【朝日小学生新聞2016年5月22日(日)掲載】