From西大和 「お話の都合」でえがかれている

まんが「ドラえもん」の登場人物、のび太くんは勉強もスポーツもできず、すぐにドラえもんにたよってしまいます。けっこう情けない少年としてえがかれていますよね。でも、のび太くんがそんなふうになってしまったのはどうしてだと思いますか。

お話の世界では、主人公だけでなく仲間や敵などいろいろなキャラクターがいます。そのキャラクターはすべて作者が「お話の都合」で作り出したものといえます。だからのび太くんが情けないのも、作者の藤子・F・不二雄さんが「この話では、のび太は情けない少年がいい」と考えたわけです。たしかに、もしのび太くんが、勉強ができてスポーツ万能だったら、ドラえもんの出番はほとんどなく、ひみつ道具もいらないかもしれませんね。

では、「ハリー・ポッター」のハリーはどうですか。どうして彼にはお父さんとお母さんがいないのでしょうか。作者のJ・K・ローリングさんはこの作品で「家族」をテーマの一つにしていました。ハリーにはその家族がいません。だからお話では、ハリーが家族を求める姿がいろいろなところに表れて、読者も家族のいないつらさやさびしさ、そして家族の温かさを感じることができるのです。

物語や小説は作者が作り出したものです。そこには作者の作り出した意図があります。その視点でお話を読んでいくと今までとはちがったお話の世界が広がります。みなさんの好きなキャラクターは、作者がどんな思いで生み出したのでしょうね。

【朝日小学生新聞2022年5月13日 掲載】