From西大和 食塩水は水より蒸発しにくい

海水浴した後の水着はかわきにくいと感じたことはありませんか? 海水浴後の水着や海水でぬれたものをそのまま干していても、なかなかかわきません。よく水洗いをしてからかわかすと、いつも通りかわきます。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

実は「蒸気圧降下」という現象が起こっているのです。簡単にいうと、海水中の水は蒸発しにくいのです。

イラストを見てください。水と食塩水です。○が水の分子(物質を構成する最小の単位)を表し、●が海水中の成分(ナトリウムイオンや塩化物イオンなど)を表します。イオンは電気をもつ原子のことです。食塩水の表面では、蒸発しようとする水分子をイオンがじゃまするため、蒸発しにくくなるのです。

食塩水の内部では、イオンと水分子がくっつくため、蒸発する水分子の割合が減ります。イオンは水分子と相性が非常によいため、水分子がまとわりついてきます。

このことからわかるように、水に何かが溶けた溶液は、濃度が大きくなればなるほど蒸発しにくくなります。水の沸点は100℃ですが、食塩水の沸点は100℃以上です。これはより大きい熱をあたえて、上で示したような「さまたげ」をクリアしないといけないと考えてください。これを「沸点上昇」といいます。

目に見えないところでさまざまなことが起こっています。ほかにも溶液はいろいろな現象を引き起こします。ほかに何があるか調べてみましょう。

【朝日小学生新聞2021年6月4日 掲載】