共通テストのプレテスト問題公表 大学入試「思考力重視」鮮明

2020年度から始まる「大学入学共通テスト」に向けた試行調査(プレテスト)の問題と結果速報が公表されました。共通テストはいまの大学入試センター試験にかわる位置づけで、思考力などが、より問われる出題といえそうです。国語を中心に特徴を解説。プレテストのねらいなども紹介します。(編集委員・沢辺雅俊)

生徒会規約など題材に記述

大学入学共通テストの「目玉」の一つが、記述式で解答する問題がとり入れられることです。国語と数学で導入されます。

プレテストの国語では実用的な文章として、生徒会の部活動規約や会話文、学校新聞などを題材。記述式は3題で、部を新設するための条件と手続きを50字以内、会話の流れにあてはまる要望を25字以内、ふさわしい発言内容を80~120字でまとめさせました。

答えるときの条件も示して「『確かに』という書き出しで、具体的な根拠を二点挙げて……」などと指定。的確に読み取る力や表現力が問われました。

プレテストの全体的な特徴として、深い理解をともなう知識や思考力・判断力・表現力を問うため、複数の資料を読み解かせるタイプがめだちました。問題冊子のページ数は増える傾向にあり、数学Ⅰ・数学Aでは過去3年間の大学入試センター試験で最も多かった16ページから32ページに倍増。世界史Bも大幅に増えています。

もう一つの特徴として挙げられるのが、高校生にとって身近な題材がもりこまれたこと。国語だけでなく、数学Ⅰ・数学Aでは文化祭のTシャツの販売価格をもとに「関数」をみちびかせ、化学では「のり」がくっつく現象から有機化合物などの性質を考えさせるといった具合でした。

「正答をすべて選択」に苦戦

大学入学共通テストはいまの中学3年生からが対象(浪人生らはのぞく)。今回のプレテストは高校3年生や高校2年生が受けており、正答率や解答の傾向などをとらえるねらいがありました。

「○個選びなさい」と具体的な数を示さず、すべての正答を選ばせる問題など新しい形式も登場。マーク式の正答率は0・9~87・1%で、90%をこえる問題もある大学入試センター試験とくらべると低めでした。その理由について、大学入試センターの担当者は「11月なので高3はこれから力が伸びていく時期。高2も受けているから」と説明します。

マーク式の正答率からは解答の傾向も浮かび上がってきました。複数の資料の読み取りそのものは想定以上の正答率でした。しかし、情報を組み合わせたり、段階を追って必要な手順を見いだしたりするなど、じっくり考えなければならない出題には苦戦したようです。複数の答えを求める新しい形式の出題も、正答率が低くなる傾向でした。

こうした結果は、共通テストの問題作成にいかされるそうです。

共通テストは、知識とともに思考力・判断力・表現力を育てることを柱とする「新学習指導要領」と連動しています。めざしているのは、話し合いや発表などを通して、自ら課題を見いだして解決していく「主体的・対話的で深い学び」。2020年度に小学校、21年度に中学校、22年度に高校と順次実施されます。

大学入試センターの担当者は「出題には、これからの授業もかわっていくというメッセージをこめている」といいます。今回の問題の構成や難易度がそのまま、共通テストに受けつがれるわけではありませんが、授業の「あり方」なども変化していきそうです

試行調査(プレテスト)
英語をのぞく5教科11科目について11月におこなわれ、全国約1900校の延べ約18万人の高校2年生、3年生が参加しました。マーク式の問題は約7割の採点が終わり、問題と結果速報が公表されました。国語と数学の記述式問題の採点は12月中におこなわれ、2018年の3月までに結果が公表される見こみです。今回のプレテストにふくまれていなかった英語については、2018年の2月に実施されます。

公立一貫校の適性検査と共通点

中学受験にくわしい首都圏模試センターの北一成さんに、出題の印象や小学生が取り組みたい勉強について聞きました。

問題文や資料で提示された情報をもとに「その場で考える」など、公立中高一貫校で実施される適性検査との共通点を感じます。この方向性で、大学入学共通テストがおこなわれるのであれば、いまの小学6年生が受ける2023年度以降も「思考力・判断力・表現力」を問う比重が増すのではないでしょうか。

小学生のみなさんは身のまわりのできごとに関心をもち、日ごろから「なぜだろう」「どうしてだろう」と考えてみる姿勢が、より大切になります。それを家族や友だちに伝え、相手からの意見も聞くことによって、いろいろな「気づき」を得られます。さらに「調べて、考えて、表現する(伝える)」力も身につきます。

大学入試でも、そうした力がいきてくるにちがいありません。

【朝日小学生新聞2017年12月10日 掲載】