大学入試改革 中間まとめのポイント 記述導入、英検など活用も

大学入試センター試験」が、いまの中学2年生らが受ける2020年度からかわります。どのような中身になり、現時点でどこまでが決まったのでしょうか。中間発表(今年8月)などをもとにポイントをまとめました。(編集委員・沢辺雅俊)

「複数回受験」は先送りに

2013年の「教育再生実行会議」の提言から始まった大学入試改革。「複数回、挑戦できる」「結果は1点刻みでなく段階別に示す」といった内容をめざしました。話し合いを重ねるなかで「記述式を導入」「別々の教科を合わせた『合教科型』を出題」などの案も掲げられました。
いまの時点では何がかたまっているのでしょうか。

大枠として、改革は2段階でおこなわれます。20年度から実施するものと、高校の新学習指導要領の導入(22年)を反映した24年度から実施するものです。20年度からの内容は中2~小5、24年度からの内容は小4以下がそれぞれ対象になります。

大学入試センター試験にかわる新テストを複数回、受験できる案は先送りに。「合教科型」は「理数探究(仮の名前)」などの新しい科目が22年度に設置されることを反映し、24年度からとり入れられる見こみです。

記述式はいまのマークシート方式と分離して、20年度から国語と数学で導入。短い文や数式を解答するもので、その結果は1点刻みではなく、段階別に示す予定です。

中間発表で注目を集めたのが記述式を実施する時期。①1月に実施、②12月に前倒し、③1月に実施して各大学が採点――3案を検討しているところです。

記述式の採点は、コンピューターによるマークシート方式の採点にくらべて時間がかかります。そのため、①の案では採点の期間が短い、②では高校側が困るという問題が……。そこで出てきたのが③案ですが、実際にどの程度の大学が採点の負担を受け入れたうえで利用するのかなど、先行きが見わたせない面もあります。

英語の試験のあり方も議論されています。
英語について「聞く・話す・読む・書く」の4技能のうち、センター試験では「話す」「書く」は測れていませんでした。そこで外部の資格・検定試験(英検、TEAP、TOEFL、IELTSなど)を使う案が出ていました。しかし、離島やへき地で受験できるかなどの課題も残ることから、中間発表では「当面は、資格・検定試験の2技能の結果と新テストを組み合わせて評価することなどを検討」としています。

文部科学省は17年の4~6月ごろ、具体的な計画を公表する予定。11月には高3や大学生ら約5万人を対象に「事前プレテスト」を実施することも検討しています。文科省の担当者は「受験生の能力や意欲を多面的にみようと現実的にできるところから進めている」としています。

課題は記述の実施時期

こうした動きについて、関係者はどのようにとらえているのでしょうか。
東京都立西高校の校長で新テストの検討・準備グループ委員でもある宮本久也先生は「改革の方向性はいいが、乗りこえていかなければならない課題が残る」といいます。心配の一つが記述式の実施時期。「早まるのは困る。学習指導要領通りに学んでいたら間にあわないし、部活動や学校行事もこれまで通りにできなくなるのでは」

教育情報サービス「大学通信」の安田賢治さんは「センター試験から大きくはかわらなかったなぁという印象です」。安田さんは朝小の姉妹紙「朝日中高生新聞」でも大学入試のコラムを連載しています。「50万人が受けるテストなので、現実に近いものに後退せざるをえません」

4年後、8年後の改革を見すえ、小学生は何をすればいいのでしょうか。
宮本先生は「求められるのは『本当の力』。さまざまな体験をして、新聞を読むなど社会に対する関心も持ち、じっくり考える習慣が大切」。安田さんは「思考力や判断力、表現力が問われるにしても、まずは基礎となる知識や技能を身につけることが大事」と考えます。

【大学入試とは】
いまの大学入試では、国公立大学はマークシート方式の「大学入試センター試験」(1月)と、各大学の2次試験の結果で合否が決まります。私立大学はそれぞれの大学で入試を実施。今春は527の私立大学がセンター試験を利用しました。ほかにAO入試などもあります。

【朝日小学生新聞2016年10月9日 掲載】