ハードルも学費も高い? 医学部の「すがた」にせまる

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「大きくなったら医者になりたいなぁ」。自分の将来について、こんな思いをもつ小学生も多いかもしれません。医師になるには大学の医学部で学ぶ必要がありますが、「入試はハードルが高く、学費もかかりそう」とイメージしがちでは。そこで、なにが難しく、学費はどの程度かかるのか、さぐってみました。小学生のころから取り組みたいことも紹介します。

どの科目もかたよりなく

医学部がある大学は全国に81(埼玉・防衛医科大学校をふくむ)。大きく国公立大と私立大にわかれ、来春は私立の国際医療福祉大学が千葉県成田市に医学部を新設します。

「医学部の入試は特有の難しさがある」。こう話すのは駿台予備学校市谷校舎の校舎長、竹内昇さん。おもな理由は左下にある表のとおりです。

国公立大では大学入試センター試験と2次(個別)試験の結果で合否が決まり、センター試験では85%以上の得点率が求められます。竹内さんは「最難関の大学なら90%以上はほしい。文系科目もふくめ、かたよりなく得点するのがポイントです」。

高い学力が求められるのは2次試験も同じ。大半で面接もあります。出願するときには「情報戦」の要素も。大学によって入試科目や配点が異なり、毎年のように変更されるので、細かな目配りが必要です。

20160803_k02私立大の場合、1次試験は英語、数学、理科(2科目)、2次試験では面接や小論文などが課されるのが一般的です。「慶応大学など数学が難しい難関大もありますが、一般的に難問奇問はなく、基本的な問題を速く正確に解く力が求められる」と竹内さん。保護者の世代では入りやすかった大学でも、のきなみ偏差値が上がっているそうです。

いまの中学2年生が受験する2020年度から大学入試制度がかわります。センター試験にかわり、新たなテストがとり入れられますが、すでに面接や小論文などを導入している医学部入試は、そう大きな影響を受けないとみられます。

学費が実質「ただ」の制度も

学費についてもみてみましょう。
国公立大の場合、1年間の学費は、ほかの学部より高いわけではなく、6年間で計350万円ほど。一方、私立大は2100万~4600万円と幅があります。安い大学ほど偏差値が高いという傾向です。

「うちはお金持ちじゃないから……」と二の足をふむ家庭があるかもしれません。でも、学費が実質的に「ただ」になる制度がいくつかあります。

20160803_k03たとえば東京都に住んでいるか、都内の高校に通っているなら「東京都地域枠」として、私立3大学(順天堂大学10人、杏林大学10人、東京慈恵会医科大学5人)が、学費と生活費(月10万円)を「貸与」。卒業後、1・5倍の期間(6年で卒業すれば9年間)、小児、周産期、救急、へき地のいずれかの領域で都が指定する病院で医師として働くなどすれば、返還が免除されます。

もともと「地域枠」は、地域で働く考えがある地元出身者のための制度。出身地域をかぎらず、全国から出願できるものもあり、多くは返済免除となる奨学金がついているタイプです。

ほかにも、防衛医科大学校は学費がかからないだけでなく、入学後、「手当」として毎月、約11万円がもらえます。これは医師である幹部自衛官になるのが前提。また、栃木・自治医科大学も、一定の要件を満たせば学費は実質「ただ」になります。

未来の医師は 社会に関心を

「医者になりたい」という小学生は、どんなことを心がけるのがいいのでしょうか。竹内さんは「好き嫌いなくどの科目も勉強し、基本的な学習習慣をつけること」といいます。また、スポーツなどに取り組む「がんばれる子」「意志が強い子」でないと、これからの受験勉強を乗りこえられないかもしれないとも考えます。

入試の面接や小論文では、医師への適性もみられます。2015年度の場合、千葉大学の面接で「孤独死についてどう思うか。解決策は」などと問われました。もちろん、正解はありません。竹内さんは「新聞に目をとおすなどして、医療や社会問題への関心を高めていくのが大事。『医学部をめざす』と思ったときから始めるといいでしょう」とアドバイスします。

【朝日小学生新聞2016年6月12日(日)掲載】