2022年度の中学入試 2年目のコロナも動向に影響

新型コロナウイルスと向き合いながら2度目の受験シーズンとなった2022年度の中学入試。今春はどのような動きがみられたのでしょうか。首都圏と関西地区について、おもな動向や特徴をそれぞれの専門家に聞きました。(編集委員・大島淳一、沢辺雅俊)

前例いかした対策実現/難関校をさけて安全志向も

「各校とも新型コロナウイルス対策を計画的に練り、実現できたのでは」。進学塾・栄光ゼミナールの藤田利通さんはこう考えます。例にあげるのが栄東中(埼玉)。第1回入試(A日程)は1月10日または1月11日の選択制で、本校が会場になる場合は集合時間に差をもうけて2部制に。机のまわりには飛沫防止のパネルを設置しました。こうした取り組みは前年度も実施し、対策のモデルとして注目を集めたようです。

新型コロナウイルスの影響で入試を受けられなかった受験生を対象に「追試験」をもうける中学も相つぎ、神奈川では県私立中学高等学校協会がつくる共通問題を用いた「共通追試」を実施。参加する各校が結果を活用して合否を判定するというしくみでした。

今春の入試で私立中・国立中にいどんだ首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)の受験生は約5万2000人。公立中高一貫校の適性検査を受けた6年生を加えると6万7500人で、前年度を上回りました(推計速報値)。

人気を集めた中学に共通する要素の一つにあげられるのが「たくみな情報発信」。実践女子学園中(東京)が典型かもしれません。在校生の学校生活や学びに取り組む姿、卒業生が語る魅力……。「メールマガジンのような印象だったかも」と藤田さん。複数の入試回をあわせ、前年度よりも770人以上多い1900人あまりが受験しました。

2月1日に午後入試を実施した中学をみると、東京の独協中が685人(123人増)、三輪田学園中が334人(100人増)などと受験生を集めました。

日能研関西の森永直樹さんによると、関西地区(京都、大阪、滋賀、兵庫、奈良、和歌山の2府4県)について私立中の受験者(初日の午前入試)は1万6900人弱でした。このエリアの6年生の9・74%にあたり、受験率は2021年度(9・64%)より高くなりました。

森永さんが今春の特徴としてあげるのが、受験生の「安全志向」。2021年度とくらべ、難関校(初日午前)の志願者は軒並み少なくなりました。兵庫にある中学をみると、灘中が35人、甲陽学院中が66人、神戸女学院中学部が43人の減少。大阪の四天王寺中(71人減)や大阪星光学院中(22人減)などで少なくなる一方、こうした難関校に続くレベルの学校では志願者が増えたところがめだちました。

森永さんは「新型コロナウイルスの影響を受けたこの2年間、保護者が思うようには家庭での勉強が進まず、確実に合格をとりにいったのではないか」と考えます。

ここ数年の入試で増える傾向にあった「関関同立」とよばれる大学(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)の付属校をめざす動きは「落ちついた」ようです。付属校のうち、京都や大阪、兵庫にある学校の総志願者(初日の午前入試)は70人近く少なくなりました。

2023年度の入試に向けて、どのようなことをするといいのでしょうか。新型コロナの影響から学校説明会などの催しで参加できる人数が制限されたり、日程が変更されたりするかもしれません。森永さんは「気になる学校があれば、こまめにウェブサイトをチェックし、いきたい学校を見すえて準備(勉強)を進めてほしい」と話しています。

【朝日小学生新聞2022年2月25日 掲載】