心を整える 今していることに集中する

休校が続く地域もあり、心が落ち着かない人もいるでしょう。精神科・心療内科医で、お寺の住職でもある川野泰周さんに、勉強に役立つ心の整え方を聞きました。「今はつらい時期ですが、みなさんの心のトレーニングにもつながります」といいます。(中塚慧)

医師で、神奈川県横浜市の林香寺住職。慶応大学医学部卒業。親子でできるマインドフルネスをNHKラジオのウェブサイト「ココロのあんしん シリーズ」で公開中。

気持ちは書き出す 自分の呼吸を観察

川野さんが教えてくれたのは、物事に対して、よしあしの判断をせずに、今していることに集中する「マインドフルネス」という考えを生かした方法です。英語で「心にとどめること」を意味し、心を落ち着かせる手段として国内外で注目されています。

家で集中できない人はまず、勉強のための「場作り」をしましょう。限られたスペースでも、「この場所は勉強のためだけに使おう」と決めるのです。ついたてや観葉植物で場所を区切るのも一つの方法です。

次に、「切り替えのための行動」をはさむことをすすめます。勉強の合間に体を動かしたり、飲み物を飲んだりすることです。飲んだり食べたりしながら勉強するのではなく、飲むことや食べることに集中します。「1杯の麦茶でも1粒のチョコレートでも、ゆっくり香りをかいで、口に入れて、味が広がるのを感じましょう」。この作業に数分かけ、「よし、勉強しよう」と口に出すと切り替えがしやすくなります。

勉強中に「ゲームがしたい」「友だちと遊びたい」など、いろいろな思いがうかぶこともあります。そんな時は、メモ帳などに箇条書きしましょう。今は新型コロナウイルスの影響もあり、かなえられないことがあるかもしれません。「書くことで、自分の気持ちをいったん外に出す『アウトプット』ができます」。新型コロナの影響が収まったら実行するのを楽しみに、リストをながめましょう。

何となく心が落ち着かない人は、呼吸を観察することが有効です。「呼吸を観察?」と、不思議に思う人もいるでしょう。今していることに集中することで、不安なことを冷静にとらえられるようになるのです。

川野さんはこんな方法をすすめます。おなかの上にぬいぐるみやサッカーボールなど好きなものを置いて、あおむけになります。おなかの上で呼吸とともに上下する様子をながめましょう。時間は自由で、30秒でも5分でも構いません。「もし窓を開けていたら『いつもより風が強いな』など、これまでなかった気づきもあります。心がとぎすまされ、おだやかになります」

新型コロナの影響がいつ収まるのか、まだ先が見えません。川野さんは「常に不安がある中で自分の心を整えられるようになると、ストレスに立ち向かう強さが身につきます」といいます。「心をトレーニングしていると思ってみましょう。そして、自分をほめてあげる気持ちも忘れないでくださいね」

【朝日小学生新聞2020年5月22日 掲載】